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鋳物製品製造業における作業環境改善の手法について |
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改正履歴 基発第173号 昭和61年3月28日 都道府県労働基準局長 殿 労働省労働基準局長 鋳物製品製造業における作業環境改善の手法について 鋳物製品製造業においては、労働者が鉱物等の粉じんを中心とした各種の有害因子にばく露される危険 性が高く、また、中小規模の事業場が多いため、作業環境を改善するための具体的手法の明確化が要望さ れていたところである。 このため、昭和56年度から3年間にわたり、非鉄鋳物製品、鋳鉄鋳物製品及び鋳鋼鋳物製品の製造事業 場における作業環境改善に関する実態調査を実施したところであるが、今般その結果等を踏まえ、「鋳物 製品製造業における作業環境改善手法」(以下「作業環境改善手法」という。)を別添のとおりとりまと めた。 ついては、鋳物製品製造事業場及び同種の製造工程を有する事業場に対する作業環境改善のための指導 を行うに当たっては本作業環境改善手法を活用されたい。 なお、本作業環境改善手法は、鋳物製品製造工程における一般的な工程についてとりまとめたものであ るが、粉じん作業の態様は多岐にわたっており、粉じんの発散の程度も異なるので、事業場の実態に応じ た指導を行うよう配慮されたい。おって、前記の実態調査の報告書を別途送付するので参照されたい。 (別添) 鋳物製品製造業における作業環境改善手法 この手法は、鋳物製品を製造する事業場で働く労働者の健康障害を防止するための対策について、作業 環境改善を中心に、その基本的方策、具体的方法等を示したものである。 この手法を利用するに当たっての留意事項は、次のとおりである。 1.鋳物製品は、「鋳鉄鋳物」、「鋳鋼鋳物」及び「非鉄金属鋳物」に大別され、昭和56年度からの調査 研究もこの区分によって行っているが、作業環境改善対策としては共通する点が多いことから、本手法 においてはこれらをまとめて示していること。 2.本手法中各項目の内容の概要は次のとおりであること。 (1) 「製造工程の概略」は、鋳物製品の製造工程の概略を示したものであること。 (2) 「製造工程別対策」には、鋳物製品の製造工程別に作業環境の改善等の基本的方策等を示したも のであること。 イ 「健康障害防止対策」には、作業環境の改善をはじめ、労働者の健康障害を防止するための主要 な対策を示したものであること。 ロ 「基本的方策」には、イの対策のうち、作業環境を改善するための基本的方策の概要を示したも のであること。 ハ 「具体的方法」には、主としてロの方策を実現するための具体的手法の例を示したものであるこ と。 ニ 「参考(関係法規)」には、健康障害防止対策ごとに、それぞれに対応する労働衛生関係法令の 概要を示したものであること。 (3) 「その他の対策」には、各製造工程に共通する事項について有害因子別に作業環境改善の具体的 手法の例を示したものであること。 (4) 「用語の説明」は鋳物製品製造業において用いられる現場用語等を説明したものであること。 3.非鉄合金鋳物を製造する工程においては、ベリウム、カドミウム、鉛等の特殊な金属も用いられるこ ともあるが、環境改善対策としては一般の金属と共通する部分が多く、また多岐にわたるので、個別に は触れていないこと。これらの物質に係る健康障害防止対策については、特定化学物質等障害予防規則 及び鉛中毒予防規則によるとともに、併せて本手法を参考とすること。 目 次 1.製造工程の概略 2.製造工程別対策 (1) 原材料の搬入・貯蔵工程(粉じん) (2) 砂処理工程(砂の再生工程を含む。)(粉じん) (3) 混練工程(粉じん、騒音) (4) 造型工程(粉じん、騒音、有害ガス、有機溶剤) (5) 溶解工程(粉じん、騒音、暑熱、有害光線) (6) 鋳込み工程(粉じん、騒音、有害ガス、有害光線) (7) 型ばらし工程(粉じん、騒音) (8) 仕上工程(粉じん、騒音) 3.その他の対策 4.用語の説明 1.製造工程の概略(図) 2.製造工程別対策
(1) | 原材料の搬入・貯蔵工程 (粉じん) (表) | |
(2) | 砂処理工程(粉じん)(表) | |
(3) | 混練工程(粉じん)(表) | |
混練工程(騒音)(表) | ||
(4) | 造型工程(粉じん)(表) | |
造型工程(騒音)(表) | ||
造型工程(有害ガス)(表) | ||
造型工程(有機溶剤)(表) | ||
(5) | 溶解工程(粉じん)(表) | |
溶解工程(騒音)(表) | ||
溶解工程(暑熱)(表) | ||
溶解工程(有害光線)(表) | ||
(6) | 鋳込み工程(粉じん)(表) | |
鋳込み工程(暑熱)(表) | ||
鋳込み工程(有害ガス)(表) | ||
鋳込み工程(有害光線)(表) | ||
(7) | 型ばらし工程(粉じん)(表) | |
型ばらし工程(騒音)(表) | ||
(8) | 仕上げ工程(粉じん)(表) | |
仕上げ工程(騒音)(表) |
3.その他の対策(表)
(注1) | 「同等以上の措置」としては、粉じん発生源の密閉化、湿潤化、局所排気装置の設置等の発生 源対策のほか、次のようなものがある。 | |
(1) | 屋内作業場の構造を、溶解炉、焼成炉等の高温の炉からの上昇気流を利用して直接粉じんを外部に 排出するものとすること。 | |
(2) | 屋内作業が著しく広く、かつ、粉じん作業がその屋内作業場内の一部の場所においてのみ行われている場合には、当該作業の行われている場所について十分に換気を行うこと。 | |
(昭和54年7月26日基発第382号) | ||
(注2) | 「同等以上の措置」としては、次のようなものがある。 | |
(1) | 特定粉じん発散源を有する場所を他の作業場所から隔離すること。 | |
(2) | 操作室等を設けることにより、労働者を特定粉じん発生源を有する場所から隔離すること。 | |
(昭和54年7月26日基発第382号) | ||
(注3) | 「代替設備の設置」としては、次のようなものがある。 | |
(1) | 表面積の大きな鋳型の塗型作業について、プッシュプル型換気装置を設けること。 | |
(2) | 有機溶剤等が入っている開放槽について、表面を水等で覆い、又は開口部に逆流凝縮機、若しくはプッシュプル型局所換気装置を設けること。 | |
(有機則第12条、昭和35年10月31日基発第929号、昭和54年12月26日基発第645号) |
4.用語説明(表)
(参考) 工程別・法令別規定一覧表(表)