安全衛生情報センター
じん肺法施行規則等の一部を改正する省令(令和6年厚生労働省令第45号。以下「改正省令」という。) については、令和6年3月18日に公布され、令和7年1月1日から施行することとされたところである。その 改正の趣旨、内容等については、下記のとおりであるので、関係者への周知徹底を図るとともに、その運 用に遺漏なきを期されたい。
第1 改正の趣旨 じん肺法(昭和35年法律第30号)、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)及び労働基準法(昭和22年法 律第49号)並びにこれらに基づく関係省令では、労働者の被災状況や健康状態、事業者が講ずべき措置 の実施状況等を適切に把握し、これら法令で定める義務等の履行の確保等につなげるため、事業者に各 種報告の提出について義務を課しており、当該報告には指定の様式を使用することとされている。 これらの報告については、労働災害等の発生等の背景・原因を正確に把握し、集計・分析することで、 労働災害防止対策の検討等に役立てているところである。 しかしながら、現状においては、これらの報告は電子申請を可能としているものの、依然として書面 による報告が多くを占めており、統計の集計はもとより、報告内容の誤記や記入漏れ等を防止して行政 事務の効率化を図るためには、デジタル技術を活用した一層の電子申請の推進が求められている。 また、「規制改革実施計画」(令和3年6月18日閣議決定)においては、年間10万件以上の手続を含む事 業についてオンライン利用率を引き上げる取組を行うこととされ、これを受けて厚生労働省の「オンラ イン利用率引上げに係る基本計画」(令和3年10月22日策定)において、労働安全衛生法の規定に基づく 労働基準監督署への報告のうち、年間手続件数が10万件以上のものについて、令和8年度末までにオン ライン利用率を20%まで引き上げることとされている。 以上を踏まえ、改正省令は、じん肺法施行規則(昭和35年労働省令第6号。以下「じん肺則」という。)、 労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)、有機溶剤中毒予防規則(昭和 47年労働省令第36号。以下「有機則」という。)、労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号。以下 「労基則」という。)等の一部を改正し、報告数の多い労働者死傷病報告等の8つの報告について原則電 子申請によることとするとともに、労働者死傷病報告における報告事項の整理や、じん肺則等について の所要の改正を行うものである。 第2 改正省令の概要 (1) 以下の報告について、事業者からの報告を原則電子申請によるものとすること。それに伴い、以下 の報告の様式を廃止することとしたこと。(じん肺則第37条第1項、安衛則第2条第2項、第4条第3項、 第7条第3項、第13条第2項、第52条第1項及び第2項、第52条の21、第97条第1項及び第2項、有機則第 30条の3並びに労基則第57条第1項及び第2項関係) ア じん肺健康管理実施状況報告(じん肺則第37条、様式第8号) イ 総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告(安衛則第2条、第4条、第7条、 第13条、様式第3号) ウ 定期健康診断結果報告書(安衛則第52条第1項、様式第6号) エ 有害な業務に係る歯科健康診断結果報告書(安衛則第52条第2項、様式第6号の2) オ 心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(安衛則第52条の21、様式第6号の3) カ 労働者死傷病報告(安衛則第97条、様式第23号、様式第24号) キ 有機溶剤等健康診断結果報告書(有機則第30条の3、様式第3号の2) ク 事業の附属寄宿舎内での災害報告(労基則第57条、安衛則様式第23号、様式第24号) (2) 休業4日未満の労働者死傷病報告及び事業の附属寄宿舎内での災害報告については、休業4日以上の 労働者死傷病報告及び事業の附属寄宿舎内での災害報告と同じ報告事項とすること。(安衛則第97条第 2項及び労基則第57条第2項関係) (3) その他所要の改正を行ったものであること。 第3 細部事項 (1) 電子申請の原則義務化(じん肺則第37条第1項、安衛則第2条第2項、第4条第3項、第7条第3項、第13 条第2項、第52条第1項及び第2項、第52条の21、第97条第1項及び第2項、有機則第30条の3並びに労基 則第57条第1項及び第2項関係) ア 電子申請の方法として、e-Gov電子申請(https://shinsei.e-gov.go.jp/)から電子申請を行う、 又は、今後労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス(https://www.cho hyo-shien.mhlw.go.jp/)から電子申請が可能となる予定であるため、これらを用いて電子申請を行 うこととする。 イ 原則電子申請が義務化された各報告の報告事項の詳細については、追って示す留意事項を参考に 報告を行うこととする。 ウ 申請者が電子申請を行う端末等を所有していないなど、電子申請を行う環境が整っていない場合 も考えられることから、当分の間、経過措置として書面による報告を行うことができることとする。 (2) 労働者死傷病報告等の報告事項の見直し(安衛則第97条第1項及び第2項、労基則第57条第1項及び第 2項関係) 休業4日未満の労働者死傷病報告及び事業の附属寄宿舎内での災害報告の報告事項の見直し等に伴い、 施行日以降において、経過措置により、休業4日以上及び休業4日未満の労働者死傷病報告及び事業の 附属寄宿舎内での災害報告の報告事項について書面で報告を行う場合には、追って示す参考様式を参 考とすること。 第4 施行期日等 (1) 施行期日 改正省令は、令和7年1月1日から施行することとしたこと。 (2) 経過措置 当分の間、第2の(1)アからオまで及びキについては従前の例によること、第2の(1)カ及びクについ ては報告事項を記載した書面による報告ができることとしたこと。