有機溶剤中毒予防規則
第六章 健康診断(第二十九条−第三十一条) |
有機溶剤中毒予防規則
目次
(健康診断)
第二十九条 令第二十二条第一項第六号の厚生労働省令で定める業務は、屋内作業場等(第三種有機溶
剤等にあつては、タンク等の内部に限る。)における有機溶剤業務のうち、第三条第一項の場合におけ
る同項の業務以外の業務とする。
2 事業者は、前項の業務に常時従事する労働者に対し、雇入れの際、当該業務への配置替えの際及びそ
の後六月以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
一 業務の経歴の調査
二 作業条件の簡易な調査
三 有機溶剤による健康障害の既往歴並びに自覚症状及び他覚症状の既往歴の有無の検査、別表の下欄
に掲げる項目(尿中の有機溶剤の代謝物の量の検査に限る。)についての既往の検査結果の調査並び
に別表の下欄(尿中の有機溶剤の代謝物の量の検査を除く。)及び第五項第二号から第五号までに掲
げる項目についての既往の異常所見の有無の調査
四 有機溶剤による自覚症状又は他覚症状と通常認められる症状の有無の検査
3 事業者は、前項に規定するもののほか、第一項の業務で別表の上欄に掲げる有機溶剤等に係るものに
常時従事する労働者に対し、雇入れの際、当該業務への配置替えの際及びその後六月以内ごとに一回、
定期に、別表の上欄に掲げる有機溶剤等の区分に応じ、同表の下欄に掲げる項目について医師による健
康診断を行わなければならない。
4 前項の健康診断(定期のものに限る。)は、前回の健康診断において別表の下欄に掲げる項目(尿中
の有機溶剤の代謝物の量の検査に限る。)について健康診断を受けた者については、医師が必要でない
と認めるときは、同項の規定にかかわらず、当該項目を省略することができる。
5 事業者は、第二項の労働者で医師が必要と認めるものについては、第二項及び第三項の規定により健
康診断を行わなければならない項目のほか、次の項目の全部又は一部について医師による健康診断を行
わなければならない。
一 作業条件の調査
二 貧血検査
三 肝機能検査
四 腎(じん)機能検査
五 神経学的検査
6 第一項の業務が行われる場所について第二十八条の二第一項の規定による評価が行われ、かつ、次の
各号のいずれにも該当するときは、当該業務に係る直近の連続した三回の第二項の健康診断(当該労働
者について行われた当該連続した三回の健康診断に係る雇入れ、配置換え及び六月以内ごとの期間に関
して第三項の健康診断が行われた場合においては、当該連続した三回の健康診断に係る雇入れ、配置換
え及び六月以内ごとの期間に係る同項の健康診断を含む。)の結果(前項の規定により行われる項目に
係るものを含む。)、新たに当該業務に係る有機溶剤による異常所見があると認められなかつた労働者
については、第二項及び第三項の健康診断(定期のものに限る。)は、これらの規定にかかわらず、一
年以内ごとに一回、定期に、行えば足りるものとする。ただし、同項の健康診断を受けた者であつて、
連続した三回の同項の健康診断を受けていない者については、この限りでない。
一 当該業務を行う場所について、第二十八条の二第一項の規定による評価の結果、直近の評価を含め
て連続して三回、第一管理区分に区分された(第四条の二第一項の規定により、当該場所について第
二十八条の二第一項の規定が適用されない場合は、過去一年六月の間、当該場所の作業環境が同項の
第一管理区分に相当する水準にある)こと。
二 当該業務について、直近の第二項の規定に基づく健康診断の実施後に作業方法を変更(軽微なもの
を除く。)していないこと。
(健康診断の結果)
第三十条 事業者は、前条第二項、第三項又は第五項の健康診断(法第六十六条第五項ただし書の場合
における当該労働者が受けた健康診断を含む。次条において「有機溶剤等健康診断」という。)の結果
に基づき、有機溶剤等健康診断個人票様式第三号を作成し、これを五年間保存しなければならない。
(健康診断の結果についての医師からの意見聴取)
第三十条の二 有機溶剤等健康診断の結果に基づく法第六十六条の四の規定による医師からの意見聴取
は、次に定めるところにより行わなければならない。
一 有機溶剤等健康診断が行われた日(法第六十六条第五項ただし書の場合にあつては、当該労働者が
健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出した日)から三月以内に行うこと。
二 聴取した医師の意見を有機溶剤等健康診断個人票に記載すること。
2 事業者は、医師から、前項の意見聴取を行う上で必要となる労働者の業務に関する情報を求められた
ときは、速やかに、これを提供しなければならない。
(健康診断の結果の通知)
第三十条の二の二 事業者は、第二十九条第二項、第三項又は第五項の健康診断を受けた労働者に対し、
遅滞なく、当該健康診断の結果を通知しなければならない。
(健康診断結果報告)
第三十条の三 事業者は、健康診断(第二十九条第二項、第三項又は第五項の健康診断であつて定期の
ものに限る。以下この条において同じ。)を行つたときは、遅滞なく、情報通信技術を活用した行政の
推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第六条第一項に規定する電子情報処理組織を使用
して、次に掲げる事項を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
一 労働保険番号
二 事業の種類並びに事業場の名称、所在地及び電話番号
三 常時使用する労働者の数
四 報告の対象となる期間、当該報告期間の属する年における報告の回数及び健康診断の実施年月日
五 健康診断の実施機関の名称及び所在地
六 有機溶剤業務の内容及び当該有機溶剤業務に常時従事する労働者の数
七 健康診断を受けた労働者の数
八 第二十九条第二項第四号(有機溶剤による他覚症状と通常認められる症状の有無の検査に限る。)、
第五項各号又は別表の下欄(尿中の有機溶剤の代謝物の量の検査を除く。)に掲げる項目について健
康診断を受けた労働者の当該項目ごとの数及び当該項目(作業条件の調査を除く。)について異常所
見があると診断された労働者の当該項目ごとの数
九 別表の上欄に掲げる有機溶剤等の区分ごとに当該区分に応じた同表の下欄に掲げる項目(尿中の有
機溶剤の代謝物の量の検査に限る。)について健康診断を受けた労働者の当該区分ごとの数及び尿中
の有機溶剤の代謝物の量の分布ごとの労働者の数
十 第八号の項目のいずれかについて異常所見があると診断された労働者の数(他覚所見のみ異常所見
があると診断された労働者の数を除く。)及び前二号に掲げる項目について医師による指示のあつた
労働者の数
十一 産業医を選任している場合は当該産業医の氏名並びに所属機関の名称及び所在地
十二 報告年月日及び事業者の職氏名
(緊急診断)
第三十条の四 事業者は、労働者が有機溶剤により著しく汚染され、又はこれを多量に吸入したときは、
速やかに、当該労働者に医師による診察又は処置を受けさせなければならない。
2 事業者は、有機溶剤業務の一部を請負人に請け負わせるときは、当該請負人に対し、有機溶剤により
著しく汚染され、又はこれを多量に吸入したときは、速やかに医師による診察又は処置を受ける必要が
ある旨を周知させなければならない。
(健康診断の特例)
第三十一条 事業者は、第二十九条第二項、第三項又は第五項の健康診断を三年以上行い、その間、当
該健康診断の結果、新たに有機溶剤による異常所見があると認められる労働者が発見されなかつたとき
は、所轄労働基準監督署長の許可を受けて、その後における第二十九条第二項、第三項又は第五項の健
康診断、第三十条の有機溶剤等健康診断個人票の作成及び保存並びに第三十条の二の医師からの意見聴
取を行わないことができる。
2 前項の許可を受けようとする事業者は、有機溶剤等健康診断特例許可申請書(様式第四号)に申請に
係る有機溶剤業務に関する次の書類を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
一 作業場の見取図
二 作業場に換気装置その他有機溶剤の蒸気の発散を防止する設備が設けられているときは、当該設備
等を示す図面及びその性能を記載した書面
三 当該有機溶剤業務に従事する労働者について申請前三年間に行つた第二十九条第二項、第三項又は
第五項の健康診断の結果を証明する書面
3 所轄労働基準監督署長は、前項の申請書の提出を受けた場合において、第一項の許可をし、又はしな
いことを決定したときは、遅滞なく、文書で、その旨を当該事業者に通知しなければならない。
4 第一項の許可を受けた事業者は、第二項の申請書及び書類に記載された事項に変更を生じたときは、
遅滞なく、文書で、その旨を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
5 所轄労働基準監督署長は、前項の規定による報告を受けた場合及び事業場を臨検した場合において、
第一項の許可に係る有機溶剤業務に従事する労働者について新たに有機溶剤による異常所見を生ずるお
それがあると認めたときは、遅滞なく、当該許可を取り消すものとする。