労働安全衛生規則 第一編 第六章 健康の保持増進のための措置 (第四十二条の二−第六十一条の二) |
労働安全衛生規則
目次
第一節 作業環境測定
(作業環境測定指針の公表)
第四十二条の二 第二十四条の規定は、法第六十五条第三項の規定による作業環境測定指針の公表につい
て準用する。
(作業環境測定の指示)
第四十二条の三 法第六十五条第五項の規定による指示は、作業環境測定を実施すべき作業場その他必要
な事項を記載した文書により行うものとする。
第一節の二 健康診断
(雇入時の健康診断)
第四十三条 事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について
医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、三月を経過し
ない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当
該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。
一 既往歴及び業務歴の調査
二 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
三 身長、体重、腹囲、視力及び聴力(千ヘルツ及び四千ヘルツの音に係る聴力をいう。次条第一項第
三号において同じ。)の検査
四 胸部エックス線検査
五 血圧の測定
六 血色素量及び赤血球数の検査(次条第一項第六号において「貧血検査」という。)
七 血清グルタミックオキサロアセチックトランスアミナーゼ(GOT)、血清グルタミックピルビックト
ランスアミナーゼ(GPT)及びガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GTP)の検査(次条第一項第
七号において「肝機能検査」という。)
八 低比重リポ蛋(たん)白コレステロール(LDLコレステロール)、高比重リポ蛋(たん)白コレス
トロール(HDLコレステロール)及び血清トリグリセライドの量の検査(次条第一項第八号において
「血中脂質検査」という。)
九 血糖検査
十 尿中の糖及び蛋(たん)白の有無の検査(次条第一項第十号において「尿検査」という。)
十一 心電図検査
(定期健康診断)
第四十四条 事業者は、常時使用する労働者(第四十五条第一項に規定する労働者を除く。)に対し、一
年以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
一 既往歴及び業務歴の調査
二 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
三 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
四 胸部エックス線検査及び喀(かく)痰(たん)検査
五 血圧の測定
六 貧血検査
七 肝機能検査
八 血中脂質検査
九 血糖検査
十 尿検査
十一 心電図検査
2 第一項第三号、第四号、第六号から第九号まで及び第十一号までに掲げる項目については、厚生労
働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、省略することができる。
3 第一項の健康診断は、前条、第四十五条の二又は法第六十六条第二項前段の健康診断を受けた者(前
条ただし書に規定する書面を提出した者を含む。)については、当該健康診断の実施の日から一年間に
限り、その者が受けた当該健康診断の項目に相当する項目を省略して行うことができる。
4 第一項第三号に掲げる項目(聴力の検査に限る。)は、四十五歳未満の者(三十五歳及び四十歳の者を
除く。)については、同項の規定にかかわらず、医師が適当と認める聴力(千ヘルツ又は四千ヘルツの
音に係る聴力を除く。)の検査をもつて代えることができる。
(満十五歳以下の者の健康診断の特例)
第四十四条の二 事業者は、前二条の健康診断を行おうとする日の属する年度(四月一日から翌年三月三
十一日までをいう。以下この条において同じ。)において満十五歳以下の年齢に達する者で、当該年度
において学校保健安全法第十一条又は第十三条(認定こども園法第二十七条において準用する場合を含
む。)の規定による健康診断を受けたもの又は受けることが予定されているものについては、前二条の
規定にかかわらず、これらの規定による健康診断(学校教育法による中学校若しくはこれに準ずる学校
若しくは義務教育学校を卒業した者又は中等教育学校の前期課程を修了した者に係る第四十三条の健康
診断を除く。)を行わないことができる。
2 前二条の健康診断を行おうとする日の属する年度において満十五歳以下の年齢に達する者で、前項に
規定する者以外のものについては、医師が必要でないと認めるときは、当該健康診断の項目の全部又は
一部を省略することができる。
(特定業務従事者の健康診断)
第四十五条 事業者は、第十三条第一項第三号に掲げる業務に常時従事する労働者に対し、当該業務へ
の配置替えの際及び六月以内ごとに一回、定期に、第四十四条第一項各号に掲げる項目について医師に
よる健康診断を行わなければならない。この場合において、同項第四号の項目については、一年以内ご
とに一回、定期に、行えば足りるものとする。
2 前項の健康診断(定期のものに限る。)は、前回の健康診断において第四十四条第一項第六号から第
九号まで及び第十一号に掲げる項目について健康診断を受けた者については、前項の規定にかかわらず、
医師が必要でないと認めるときは、当該項目の全部又は一部を省略して行うことができる。
3 第四十四条第二項及び第三項の規定は、第一項の健康診断について準用する。この場合において、同
条第三項中「一年間」とあるのは、「六月間」と読み替えるものとする。
4 第一項の健康診断(定期のものに限る。)の項目のうち第四十四条第一項第三号に掲げる項目(聴力の
検査に限る。)は、前回の健康診断において当該項目について健康診断を受けた者又は四十五歳未満の
者(三十五歳及び四十歳の者を除く。)については、第一項の規定にかかわらず、医師が適当と認める
聴力(千ヘルツ又は四千ヘルツの音に係る聴力を除く。)の検査をもつて代えることができる。
(海外派遣労働者の健康診断)
第四十五条の二 事業者は、労働者を本邦外の地域に六月以上派遣をしようとするときは、あらかじめ、
当該労働者に対し、第四十四条第一項各号に掲げる項目及び厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必
要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならない。
2 事業者は、本邦外の地域に六月以上派遣した労働者を本邦の地域内における業務に就かせるとき(一
時的に就かせるときを除く。)は、当該労働者に対し、第四十四条第一項各号に掲げる項目及び厚生労
働大臣が定める項目のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなけれ
ばならない。
3 第一項の健康診断は、第四十三条、第四十四条、前条又は法第六十六条第二項前段の健康診断を受け
た者(第四十三条第一項ただし書に規定する書面を提出した者を含む。)については、当該健康診断の
実施の日から六月間に限り、その者が受けた当該健康診断の項目に相当する項目を省略して行うことが
できる。
4 第四十四条第二項の規定は、第一項及び第二項の健康診断について準用する。この場合において、
同条第二項中「、第四号、第六号から第九号まで及び第十一号まで」とあるのは、「及び第四号」と
読み替えるものとする。
第四十六条 削除
(給食従業員の検便)
第四十七条 事業者は、事業に附属する食堂又は炊事場における給食の業務に従事する労働者に対し、そ
の雇入れの際又は当該業務への配置替えの際、検便による健康診断を行なわなければならない。
(歯科医師による健康診断)
第四十八条 事業者は、令第二十二条第三項の業務に常時従事する労働者に対し、その雇入れの際、当該
業務への配置替えの際及び当該業務についた後六月以内ごとに一回、定期に、歯科医師による健康診断
を行なわなければならない。
(健康診断の指示)
第四十九条 法第六十六条第四項の規定による指示は、実施すべき健康診断の項目、健康診断を受けるべ
き労働者の範囲その他必要な事項を記載した文書により行なうものとする。
(労働者の希望する医師等による健康診断の証明)
第五十条法第六十六条第五項ただし書の書面は、当該労働者の受けた健康診断の項目ごとに、その結果を
記載したものでなければならない。
(自発的健康診断)
第五十条の二 法第六十六条の二の厚生労働省令で定める要件は、常時使用され、同条の自ら受けた健康
診断を受けた日前六月間を平均して一月当たり四回以上同条の深夜業に従事したこととする。
第五十条の三 前条で定める要件に該当する労働者は、第四十四条第一項各号に掲げる項目の全部又は一
部について、自ら受けた医師による健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出することができる。た
だし、当該当健康診断を受けた日から三月を経過したときは、この限りでない。
第五十条の四 法第六十六条の二の書面は、当該労働者の受けた健康診断の項目ごとに、その結果を記載
したものでなければならない。
(健康診断結果の記録の作成)
第五十一条 事業者は、第四十三条、第四十四条若しくは第四十五条から第四十八条までの健康診断若し
くは法第六十六条第四項の規定による指示を受けて行つた健康診断(同条第五項ただし書の場合におい
て当該労働者が受けた健康診断を含む。次条において「第四十三条等の健康診断」という。)又は法第
六十六条の二の自ら受けた健康診断の結果に基づき、健康診断個人票様式第五号を作成して、これを
五年間保存しなければならない。
(健康診断の結果についての医師等からの意見聴取)
第五十一条の二 第四十三条等の健康診断の結果に基づく法第六十六条の四の規定による医師又は歯科医
師からの意見聴取は、次に定めるところにより行わなければならない。
一 第四十三条等の健康診断が行われた日(法第六十六条第五項ただし書の場合にあつては、当該労働
者が健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出した日)から三月以内に行うこと。
二 聴取した医師又は歯科医師の意見を健康診断個人票に記載すること。
2 法第六十六条の二の自ら受けた健康診断の結果に基づく法第六十六条の四の規定による医師からの意
見聴取は、次の定めるところにより行わなければならない。
一 当該健康診断の結果を証明する書面が事業者に提出された日から二月以内に行うこと。
二 聴取した医師の意見を健康診断個人票に記載すること。
3 事業者は、医師又は歯科医師から、前二項の意見聴取を行う上で必要となる労働者の業務に関する情
報を求められたときは、速やかに、これを提供しなければならない。
(指針の公表)
第五十一条の三 第二十四条の規定は、法第六十六条の五第二項の規定による指針の公表について準用す
る。
(健康診断の結果の通知)
第五十一条の四 事業者は、法第六十六条第四項又は第四十三条、第四十四条若しくは第四十五条から第
四十八条までの健康診断を受けた労働者に対し、遅滞なく、当該健康診断の結果を通知しなければなら
ない。
(健康診断結果報告)
第五十二条 常時五十人以上の労働者を使用する事業者は、健康診断(第四十四条又は第四十五条の健
康診断であつて定期のものに限る。以下この項において同じ。)を行つたときは、遅滞なく、電子情報
処理組織を使用して、次に掲げる事項を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
一 労働保険番号
二 事業の種類並びに事業場の名称、所在地及び電話番号
三 常時使用する労働者の数
四 報告の対象となる期間、当該期間の属する年における報告の回数及び健康診断の実施年月日
五 健康診断の実施機関の名称及び所在地
六 健康診断を受けた労働者の数及び第十三条第一項第三号に掲げる業務に常時従事する労働者の数
七 第四十四条第一項第三号(聴力の検査に限る。)及び第四号から第十一号までに掲げる項目につい
て健康診断を受けた労働者の当該項目ごとの数並びに当該項目について異常所見があると診断された
労働者の当該項目ごとの数
八 前号の項目のいずれかについて異常所見があると診断された労働者の数及び医師による指示のあつ
た労働者の数
九 産業医の氏名並びに所属機関の名称及び所在地
十 報告年月日及び事業者の職氏名
2 事業者は、健康診断(第四十八条の健康診断であつて定期のものに限る。以下この項において同じ。)
を行つたときは、遅滞なく、電子情報処理組織を使用して、次に掲げる事項を所轄労働基準監督署長に
報告しなければならない。
一 前項第一号から第三号まで及び第十号に掲げる事項
二 報告の対象となる期間、当該期間の属する年における報告の回数及び健康診断の実施年月日
三 健康診断の実施機関の名称及び所在地
四 事業場において取り扱う令第二十二条第三項に掲げる物の名称、当該物を取り扱う業務の内容及び
当該業務に従事する労働者の数
五 健康診断を受けた労働者の数及び異常所見があると診断された労働者の数
六 産業医を選任している場合は当該産業医の氏名並びに所属機関の名称及び所在地
第一節の三 長時間にわたる労働に関する面接指導等
(面接指導の対象となる労働者の要件等)
第五十二条の二 法第六十六条の八第一項の厚生労働省令で定める要件は、休憩時間を除き一週間当た
り四十時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が一月当たり八十時間を超え、かつ、疲労
の蓄積が認められる者であることとする。ただし、次項の期日前一月以内に法第六十六条の八第一項又
は第六十六条の八の二第一項に規定する面接指導を受けた労働者その他これに類する労働者であつて法
第六十六条の八第一項に規定する面接指導(以下この節において「法第六十六条の八の面接指導」とい
う。)を受ける必要がないと医師が認めたものを除く。
2 前項の超えた時間の算定は、毎月一回以上、一定の期日を定めて行わなければならない。
3 事業者は、第一項の超えた時間の算定を行つたときは、速やかに、同項の超えた時間が一月当たり八
十時間を超えた労働者に対し、当該労働者に係る当該超えた時間に関する情報を通知しなければならな
い。
(面接指導の実施方法等)
第五十二条の三 法第六十六条の八の面接指導は、前条第一項の要件に該当する労働者の申出により行
うものとする。
2 前項の申出は、前条第二項の期日後、遅滞なく、行うものとする。
3 事業者は、労働者から第一項の申出があつたときは、遅滞なく、法第六十六条の八の面接指導を行わ
なければならない。
4 産業医は、前条第一項の要件に該当する労働者に対して、第一項の申出を行うよう勧奨することが
できる。
(面接指導における確認事項)
第五十二条の四 医師は、法第六十六条の八の面接指導を行うに当たつては、前条第一項の申出を行つ
た労働者に対し、次に掲げる事項について確認を行うものとする。
一 当該労働者の勤務の状況
二 当該労働者の疲労の蓄積の状況
三 前号に掲げるもののほか、当該労働者の心身の状況
(労働者の希望する医師による面接指導の証明)
第五十二条の五 法第六十六条の八第二項ただし書の書面は、当該労働者の受けた法第六十六条の八の
面接指導について、次に掲げる事項を記載したものでなければならない。
一 実施年月日
二 当該労働者の氏名
三 法第六十六条の八の面接指導を行つた医師の氏名
四 当該労働者の疲労の蓄積の状況
五 前号に掲げるもののほか、当該労働者の心身の状況
(面接指導結果の記録の作成)
第五十二条の六 事業者は、法第六十六条の八の面接指導(法第六十六条の八第二項ただし書の場合に
おいて当該労働者が受けたものを含む。次条において同じ。)の結果に基づき、当該法第六十六条の八
の面接指導の結果の記録を作成して、これを五年間保存しなければならない。
2 前項の記録は、前条各号に掲げる事項及び法第六十六条の八第四項の規定による医師の意見を記載し
たものでなければならない。
(面接指導の結果についての医師からの意見聴取)
第五十二条の七 法第六十六条の八の面接指導の結果に基づく法第六十六条の八第四項の規定による
医師からの意見聴取は、当該法第六十六条の八の面接指導が行われた後(同条第二項ただし書の場合に
あつては、当該労働者が当該法第六十六条の八の面接指導の結果を証明する書面を事業者に提出した後)、
遅滞なく行わなければならない。
(法第六十六条の八の二第一項の厚生労働省令で定める時間等)
第五十二条の七の二 法第六十六条の八の二第一項の厚生労働省令で定める時間は、休憩時間を除き一
週間当たり四十時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間について、一月当たり百時間とす
る。
2 第五十二条の二第二項、第五十二条の三第一項及び第五十二条の四から前条までの規定は、法第六十
六条の八の二第一項に規定する面接指導について準用する。この場合において、第五十二条の二第二項
中「前項」とあるのは「第五十二条の七の二第一項」と、第五十二条の三第一項中「前条第一項の要件
に該当する労働者の申出により」とあるのは「前条第二項の期日後、遅滞なく」と、第五十二条の四中
「前条第一項の申出を行つた労働者」とあるのは「労働者」と読み替えるものとする。
(法第六十六条の八の三の厚生労働省令で定める方法等)
第五十二条の七の三 法第六十六条の八の三の厚生労働省令で定める方法は、タイムカードによる記録、
パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法とする。
2 事業者は、前項に規定する方法により把握した労働時間の状況の記録を作成し、三年間保存するため
の必要な措置を講じなければならない。
(法第六十六条の八の四第一項の厚生労働省令で定める時間等)
第五十二条の七の四 法第六十六条の八の四第一項の厚生労働省令で定める時間は、一週間当たりの健
康管理時間(労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第四十一条の二第一項第三号に規定する健康
管理時間をいう。)が四十時間を超えた場合におけるその超えた時間について、一月当たり百時間とす
る。
2 第五十二条の二第二項、第五十二条の三第一項及び第五十二条の四から第五十二条の七までの規定は、
法第六十六条の八の四第一項に規定する面接指導について準用する。この場合において、第五十二条の
二第二項中「前項」とあるのは「第五十二条の七の四第一項」と、第五十二条の三第一項中「前条第一
項の要件に該当する労働者の申出により」とあるのは「前条第二項の期日後、遅滞なく、」と、第五十
二条の四中「前条第一項の申出を行つた労働者」とあるのは「労働者」と読み替えるものとする。
(法第六十六条の九の必要な措置の実施)
第五十二条の八 法第六十六条の九の必要な措置は、法第六十六条の八の面接指導の実施又は法第六
十六条の八の面接指導に準ずる措置(第三項に該当する者にあつては、法第六十六条の八の四第一項に
規定する面接指導の実施)とする。
2 労働基準法第四十一条の二第一項の規定により労働する労働者以外の労働者に対して行う法第六十六
条の九の必要な措置は、事業場において定められた当該必要な措置の実施に関する基準に該当する者に
対して行うものとする。
一 長時間の労働により、疲労の蓄積が認められ、又は健康上の不安を有している労働者
二 前号に掲げるもののほか、事業場において定められた法第六十六条の九の必要な措置の実施に関す
る基準に該当する労働者
3 労働基準法第四十一条の二第一項の規定により労働する労働者に対して行う法第六十六条の九の必要
な措置は、当該労働者の申出により行うものとする。
第一節の四 心理的な負担の程度を把握するための検査等
(心理的な負担の程度を把握するための検査の実施方法)
第五十二条の九 事業者は、常時使用する労働者に対し、一年以内ごとに一回、定期に、次に掲げる事項
について法第六十六条の十第一項に規定する心理的な負担の程度を把握するための検査(以下この節に
おいて「検査」という。)を行わなければならない。
一 職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目
二 当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
三 職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目
(検査の実施者等)
第五十二条の十 法第六十六条の十第一項の厚生労働省令で定める者は、次に掲げる者(以下この節におい
て「医師等」という。)とする。
一 医師
二 保健師
三 検査を行うために必要な知識についての研修であつて厚生労働大臣が定めるものを修了した歯科医
師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師
2 検査を受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、
検査の実施の事務に従事してはならない。
(検査結果等の記録の作成等)
第五十二条の十一 事業者は、第五十二条の十三第二項に規定する場合を除き、検査を行つた医師等によ
る当該検査の結果の記録の作成の事務及び当該検査の実施の事務に従事した者による当該記録の保存の
事務が適切に行われるよう、必要な措置を講じなければならない。
(検査結果の通知)
第五十二条の十二 事業者は、検査を受けた労働者に対し、当該検査を行つた医師等から、遅滞なく、当
該検査の結果が通知されるようにしなければならない。
(労働者の同意の取得等)
第五十二条の十三 法第六十六条の十第二項後段の規定による労働者の同意の取得は、書面又は電磁的記
録によらなければならない。
2 事業者は、前項の規定により検査を受けた労働者の同意を得て、当該検査を行つた医師等から当該労
働者の検査の結果の提供を受けた場合には、当該検査の結果に基づき、当該検査の結果の記録を作成し
て、これを五年間保存しなければならない。
(検査結果の集団ごとの分析等)
第五十二条の十四 事業者は、検査を行つた場合は、当該検査を行つた医師等に、当該検査の結果を当該
事業場の当該部署に所属する労働者の集団その他の一定規模の集団ごとに集計させ、その結果について
分析させるよう努めなければならない。
2 事業者は、前項の分析の結果を勘案し、その必要があると認めるときは、当該集団の労働者の実情を
考慮して、当該集団の労働者の心理的な負担を軽減するための適切な措置を講ずるよう努めなければな
らない。
(面接指導の対象となる労働者の要件)
第五十二条の十五 法第六十六条の十第三項の厚生労働省令で定める要件は、検査の結果、心理的な負担
の程度が高い者であつて、同項に規定する面接指導(以下この節において「面接指導」という。)を受け
る必要があると当該検査を行つた医師等が認めたものであることとする。
(面接指導の実施方法等)
第五十二条の十六 法第六十六条の十第三項の規定による申出(以下この条及び次条において「申出」と
いう。)は、前条の要件に該当する労働者が検査の結果の通知を受けた後、遅滞なく行うものとする。
2 事業者は、前条の要件に該当する労働者から申出があつたときは、遅滞なく、面接指導を行わなけれ
ばならない。
3 検査を行つた医師等は、前条の要件に該当する労働者に対して、申出を行うよう勧奨することができ
る。
(面接指導における確認事項)
第五十二条の十七 医師は、面接指導を行うに当たつては、申出を行つた労働者に対し、第五十二条の九
各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項について確認を行うものとする。
一 当該労働者の勤務の状況
二 当該労働者の心理的な負担の状況
三 前号に掲げるもののほか、当該労働者の心身の状況
(面接指導結果の記録の作成)
第五十二条の十八 事業者は、面接指導の結果に基づき、当該面接指導の結果の記録を作成して、これを
五年間保存しなければならない。
2 前項の記録は、前条各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載したものでなければならない。
一 実施年月日
二 当該労働者の氏名
三 面接指導を行つた医師の氏名
四 法第六十六条の十第五項の規定による医師の意見
(面接指導の結果についての医師からの意見聴取)
第五十二条の十九 面接指導の結果に基づく法第六十六条の十第五項の規定による医師からの意見聴取は、
面接指導が行われた後、遅滞なく行わなければならない。
(指針の公表)
第五十二条の二十 第二十四条の規定は、法第六十六条の十第七項の規定による指針の公表について準用
する。
(検査及び面接指導結果の報告)
第五十二条の二十一 常時五十人以上の労働者を使用する事業者は、一年以内ごとに一回、定期に、電子
情報処理組織を使用して、検査及び面接指導の結果等について、次に掲げる事項を所轄労働基準監督署
長に報告しなければならない。
一 労働保険番号
二 事業の種類並びに事業場の名称、所在地及び電話番号
三 常時使用する労働者の数
四 報告の対象となる期間及び検査の実施年月
五 検査を受けた労働者の数及び面接指導を受けた労働者の数
六 検査を実施した者が次のイからハまでのいずれに該当するかの別
イ 事業者が選任した産業医
ロ 当該事業場に所属する医師(イに掲げる産業医以外の医師に限る。)、保健師、歯科医師、看護
師、精神保健福祉士又は公認心理師
ハ 検査を委託した医師、保健師、歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師
七 面接指導を実施した医師が次のイからハまでのいずれに該当するかの別
イ 事業者が選任した産業医
ロ 当該事業場に所属する医師(イに掲げる産業医以外の医師に限る。)
ハ 検査を委託した医師
八 検査の結果についての第五十二条の十四第一項の規定に基づく集団ごとの分析の実施の有無
九 産業医の氏名並びに所属機関の名称及び所在地
十 報告年月日及び事業者の職氏名
第二節 健康管理手帳
(令第二十三条第十三号の厚生労働省令で定める場所)
第五十二条の二十二 令第二十三条第十三号の厚生労働省令で定める場所は、屋内作業場等(屋内作業場
及び有機溶剤中毒予防規則(昭和四十七年労働省令第三十六号。以下「有機則」という。)第一条第二
項各号に掲げる場所をいう。)とする。
(健康管理手帳の交付)
第五十三条 法第六十七条第一項の厚生労働省令で定める要件に該当する者は、労働基準法の施行の日以
降において、次の表の上欄に掲げる業務に従事し、その従事した業務に応じて、離職の際に又は離職の
後に、それぞれ、同表の下欄に掲げる要件に該当する者その他厚生労働大臣が定める要件に該当する者
とする。(表)
2 健康管理手帳(以下「手帳」という。)の交付は、前項に規定する要件に該当する者の申請に基づい
て、所轄都道府県労働局長(離職の後に同項に規定する要件に該当する者にあつては、その者の住所を
管轄する都道府県労働局長)が行うものする。
3 前項の申請をしようとする者は、健康管理手帳交付申請書(様式第七号)に第一項の要件に該当する
事実を証する書類(当該書類がない場合には、当該事実についての申立て書)(令第二十三条第八号又
は第十一号の業務に係る前項の申請(同号の業務に係るものについては、第一項の表令第二十三条第十
一号の業務(石綿等(令第六条第二十三号に規定する石綿等をいう。以下同じ。)を製造し、又は取り
扱う業務に限る。)の項第二号から第四号までの要件に該当することを理由とするものを除く。)をし
ようとする者にあつては、胸部のエックス線直接撮影又は特殊なエックス線撮影による写真を含む。)
を添えて、所轄都道府県労働局長(離職の後に第一項の要件に 該当する者にあつては、その者の住所
を管轄する都道府県労働局長)に提出しなければならない。
(手帳の様式)
第五十四条 手帳は、様式第八号による。
(受診の勧告)
第五十五条 都道府県労働局長は、手帳を交付するときは、当該手帳の交付を受ける者に対し、厚生労働
大臣が定める健康診断を受けることを勧告するものとする。
(通知)
第五十六条 都道府県労働局長は、前条の勧告をするときは、手帳の交付を受ける者に対し、その者が受
ける健康診断の回数、方法その他当該健康診断を受けることについて必要な事項を通知するものとする。
(手帳の提出等)
第五十七条 手帳の交付を受けた者(以下「手帳所持者」という。)は、第五十五条の勧告に係る健康診
断(以下この条において「健康診断」という。)を受けるときは、手帳を当該健康診断を行なう医療機
関に提出しなればならない。
2 前項の医療機関は、手帳所持者に対し健康診断を行なつたときは、その結果をその者の手帳に記載し
なければならない。
3 第一項の医療機関は、手帳所持者に対し健康診断を行なつたときは、遅滞なく、様式第九号による
報告書を当該医療機関の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならない。
(手帳の書替え)
第五十八条 手帳所持者は、氏名又は住所を変更したときは、三十日以内に、健康管理手帳書替申請書
(様式第十号)に手帳を添えてその者の住所を管轄する都道府県労働局長に提出し、手帳の書替えを受
けなければならない。
(手帳の再交付)
第五十九条 手帳所持者は、手帳を滅失し、又は損傷したときは、健康管理手帳再交付申請書
(様式第十号)をその者の住所を管轄する都道府県労働局長に提出し、手帳の再交付を受けなければなら
ない。
2 手帳を損傷した者が前項の申請をするときは、当該申請書にその手帳を添えなければならない。
3 手帳所持者は、手帳の再交付を受けた後、滅失した手帳を発見したときは、すみやかに、これを第一
項の都道府県労働局長に返還しなければならない。
(手帳の返還)
第六十条 手帳所持者が死亡したときは、当該手帳所持者の相続人又は法定代理人は、遅滞なく、手帳を
その者の住所を管轄する都道府県労働局長に返還しなければならない。
第三節 病者の就業禁止
(病者の就業禁止)
第六十一条 事業者は、次の各号のいずれかに該当する者については、その就業を禁止しなければならな
い。ただし、第一号に掲げる者について伝染予防の措置をした場合は、この限りではない。
一 病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかつた者
二 心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれのあるものにかかつた者
三 前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるものにかかつた者
2 事業者は、前項の規定により、就業を禁止しようとするときは、あらかじめ、産業医その他専門の医
師の意見をきかなければならない。
第四節 指針の公表
(指針の公表)
第六十一条の二 第二十四条の規定は、法第七十条の二第一項の規定による指針の公表について準用する。