その他の金属製品製造業
この職場では、建築物の免震装置を製作しているが、鋼棒ダンパー組立工程において、ダンパーである鋼製リング(1本55kg)をベースプレートに組み付ける際、一人がクレーンを操作しつつ、他の一人がリングを手で水平に持ち上げながら組み付けるという二人作業で行っていた(写真1)。
しかし、この作業方法では、リングの数量が多く、しかも重量物であるリングを前屈みで支えるという不良姿勢作業であったため、腰痛の原因にもなり作業者から嫌われる作業であった。
そこで、このような不良姿勢での重筋作業を改善すべく、免震組立用リング吊り治具を考案した。
吊り治具は写真2のようなものであるが、この治具を用いた作業は次のようになった。
- ① 塗装ハンガーに掛かったリングをクレーンにシャックルで吊り下げた治具にセットする。(このとき、リング穴に治具の外れ止めピンを挿入する。この状態ではシャックルは写真2の位置にある)。
- ② 治具の取手を軽く握り上方向に持ち上げる(4kg程度の力)。
(シャックルが写真3の位置に移動し、リングを水平に保持できる状態になる。) - ③ リングを治具で水平に保持し(軽く触れる程度の力)、移動する。
- ④ リングを水平に吊ったまま、ベースプレートの穴に合わせ、片手でボルト・ワッシャーをはめ、セットする(写真4)。
以上の作業をすべて一人作業で行う。
このような吊り治具による作業方法の改善により、重量物であるリングを前屈みで支えるという垂筋・不良姿勢作業が解消され、作業者の快適感が向上し、腰痛の危険性もなくなった。
また、作業性も大幅に向上し、二人作業が一人作業でも可能になった。
具体的には、従来、1日当たり2人で6セットが限界であったが、改善後は1日当たり1人で12セットが可能となり、作業効率は4倍アップした。
平成10年12月〜平成11年2月
約16万円
無し