化学工業
当事業所では、硫酸タンクに付帯する移送ポンプを屋外地下ピット内に設置しているが、ピット内にポンプのシール水や雨水が流れ込むため、排水しないとポンプ等が水没する。
そこで、パトロールのつど、蒸気エジェクターを起動して排水作業を行っていたが、次のような問題点があった。
- ① 蒸気エジェクターを使用する際、蒸気による火傷のおそれがあった。
- ② 1直2回、1日に6回の排水作業をする必要があった。雨の日は、頻度が倍になる。
- ③ ピット内の機器点検作業の際、排水が不十分なため、滑って転倒する危険があった。
そこで、これらの改善をするために、安全で効率的な自動排水装置を考案した。
空圧式自動排水ポンプを考案した(写真)。
動作原理は次のとおり(図)。
- ① 常時、大気圧より圧力が高い空気(0.03MPa:以下空気)が流入し、ポンプ内の水が少ないときは「放圧口」より排気されている。
- ② ポンプ内に水が流入する。
- ③ 水が流入し水位が上昇すると、フロートが上昇する。
- ④ フロートの上昇により、これと連動して「放圧弁」が閉まる。
- ⑤ 「放圧弁」が閉まることにより、常に流入している空気によりポンプ内が加圧されるので、「逆止弁」も閉まる。
- ⑥ さらに圧力が上昇すると、ポンプ内の水が排水口より外部へ排水される。
- ⑦ 排水が終了すると、空気が排水口より放出されるので、ポンプ内の圧力が低下する。
- ⑧ ポンプ内の圧力が低下すると、内圧で押し上げられていた「放圧弁」が開き、連動してフロートも降下する。
②〜⑧の繰り返しにより、ピット内の水は自動的に排水されることになる。
- ピット内の排水作業に蒸気エジェクターが不要となったので、蒸気による火傷のおそれが低減した。
- 従来は、排水作業を開始すると終了時まで監視を必要としたが、本装置により自動的に排水作業を行うため、監視が不要になった。現在は、1日に1回程度パトロール時に本装置の動作確認をするだけとなり、作業性が向上した。
- ピット内の水は自動的に排水されているので、ピット内の機器点検を行う際、水により滑って転倒するおそれがなくなった。
平成10年11月〜平成11年1月
約1万円/1基(主に事業所内で発生した廃材(塩ビパイプ等)を利用)
無し