製鉄・製鋼・圧延業
薄鋼板をレベラーロールで平坦にする工程では、鋼板とロールのスリプによってロールに疵がつく。特に焼きなました鋼板は、表面が軟化しているため、少しのスリップでもロールに疵がつき、その修正手入れが頻繁になる。
ロールの手入れ作業は、レベラー内でロールを回転させたり、停止させながらグラインダーで疵とり行ってきた。しかし、レベラー内は狭く、作業者は身動きも容易でない状態である。さらに、ロールを回転させる時運転室から作業者の姿勢や動きが見えにくい上に、運転室と作業者の合図が徹底しない等安全衛生上問題が多く、また作業効率も著しく悪い。
上下5本のレベラーロールを同時に研磨する治具を考案した。
この考案のポイントは、研磨治具の芯となっている15mm厚のベニヤ板である。薄鋼板や木骨材等では、厚みを変更してもロールの研磨の仕上がり具合や、治具の寿命などの点で不適当であった。
考案した治具で研磨する作業は、ロール回転の停止と、ビンチロールが下がっていることを確認した後、研磨治具を上下5本のロールの間に挿入する。この時治具は取り付けられたワイヤーロープで固定するが、ワイヤーがねじれていると切断する危険があるので注意しなければならない。
研磨作業は、ロール治具の接し具合をロールの加減で調整する。その後運転室操作盤でロールを約1分間くらい回転させ、5本同時にロールの疵を手入れする。
本治具の使用により、安全衛生面や生産性について、次の成果があった。
- 安全性の向上
手入れ時ライン内へ入ることがなく改善前の危険性がなくなった。 - 作業性の向上
- ① 上下ロール間へ治具をセットするだけでよい。
- ② セットから完了まで6分と従来の5分の1に短縮できた。
- 衛生面
下ロール手入れ作業が不要となり、粉じんがかかることがなくなった。
平成元年4月〜平成5年1月
工場材料のリサイクルのためなし。
無し