自動車・同付属品製造業
当事業場では、自動車部品等を入れた重さ10〜20kgのポリボックスをパレットから台車へ移し替える荷扱い作業を行っている。しかし、この作業は、荷扱いの数量が多いうえ、手持ち作業で行っていたため、腰痛になる作業者が多かった。
ポリボックスを持ち上げるために一般に市販されているエアバランスホイストと両持ちハンガーを取り付けてみたが、相互に密着した状態で置かれたポリボックスを持ち上げる際、一度ずらしてからでないと両側からはさんで持ち上げることができない、移動後も密着した状態で置けないなどの問題があり、手持ち作業で行うほうが効率的であったことから、腰痛問題が長い間職場の悩みのタネであった。
この考案は、ポリボックスの片側をはさんでしっかりとバランスよく保持することができる片持ちハンガーを製作し、密着した状態で置かれたポリボックスを容易に持ち上げることができるようにしたものである。
この片持ちハンガーの構造と使用方法は次のようになっている。
- ① ハンガーの構造
保持部本体の断面は下向きのコの字形をしており、ポリボックスの底辺近くまで長く伸びた片方の面に矩形の窓があけてある。その窓の下部に頂点を下側に等辺三角形状の断面をしたストッパーがスプリングを内蔵したヒンジにより取り付けられており、解除レバーがストッパーの外側面に付いている。(図) - ② ハンガーの取付け・取外しと使用方法(写真1、2)
ハンガーの取付けは、ポリボックスの片側の上部から保持部本体を押し下げるだけででき、取外しは、ポリボックスを下ろした後、解除レバーを手前に引いた状態でハンガーを上方に持ち上げてはずす。
使用方法は、ハンガーを取り付け、エアバランスホイスト等で吊り上げてポリボックスを移動させ、目的の場所で下ろす。
また、作業中に解除レバーを引いても、ポリボックスの重量がストッパーに作用しているので、ポリボックスを下ろさないとハンガーがはずれないようになっている。
- 作業者に対する荷重負荷がないため、腰痛の防止に役立っている。
- 作業性と使い勝手がよいので、作業者が喜んで使用するようになった。
平成10年1月〜9月
材料費6,000円、加工費90,000円/個
有り