その他の電気機械器具製造業
半導体製造のプロセスで、後工程で削るなどして配線を形づくるためのメタルと呼ばれる膜(ウエハー)を付けるタングステンCVD装置は、定期保全作業(チヤンバークリーン)において、狭い場所で微妙な調整技能が要求され、部品交換に時間がかかるとともに、無理な作業姿勢を強いられることが多かった。
この調整作業とは、調整リング(冶具)を使用して、高さ調整ネジ2個と前後調整ネジ2個によりチャック2本のピンを基準に、ウェハーの押さえとズレを均等に合わせる作業である。
特にチャックとリングの位置合わせが重要で、デンタルミラー等を使用して調整を行っていたが、調整が不十分なために装置の稼働率が悪くなり、生産活動にも支障を来していた。また、チヤンバー内の取り付け、取り外しを行うチャックは重く、腰痛発症の危険性もあった。(写真1) (写真2) (写真3)
外段取り作業にするために、半導体機器保全作業者全員で知恵を出し合い、全体の構想をまとめ上げた。主な検討項目は次のとおり。
- A:狭い場所で使用できる回転リフターを採用した。
- B:チヤンバーの蓋は装置の横で折りたたむようにした。
- C:外したハブを置く台車を製作した。
- D:台車内に小物入れをつくり、部品、工具を整理できるようにした。
回転リフターを使用することにより、使用済みチャックを組み立て状態で取り外し空の台車に載せて運び出す。チヤンバー内をクリーニング後、調整したチャックセットを取り付け、チヤンバーの蓋を閉じて作業は終了となる。(写真4) (写真5)
改善前は装置のチヤンバー内で行っていた部品の交換、調整作業をオフライン、すなわち外に出して余裕をもって楽に作業ができるようになった。その結果、
- 重量物の取り扱いがなくなり、不自然な作業姿勢から解放された。
- 徹妙な調整作業が楽になり、緊張作業が軽減した。
- 定期保全時間が半分に短縮された。
- 装置稼働状況が12%向上した。(図)。
平成7年2〜7月
1台350万円
無し