自動車・同付属品製造業
自動車用エンジンを生産する当工場では、パーツフィーダーを使用してシリンダーヘッド自動組立機に部品を供給している。しかし納入される部品には防錆油が塗布されているため、密着してしまい、そのままではパーツフィーダーで流れ不良になってしまう。このため、毎朝約60分かけて部品を手洗いで洗浄していたが、その作業には以下のような問題点があった。
- ① 専用の部品洗浄場所がなく、洗面所の手洗い場を使用しているが、滑りやすく危険がある。
- ② 職場から洗面所まで約50m離れており、部品をペール缶に入れて台車で移動しなくてはならない。
- ③ 水と洗剤では防錆油が落ちず、湯を使用しているが、熟揚が出てしまう場合があり、火傷の危険がある。
- ④ 蛇口が低く、作業がすべて中腰であり、姿勢が悪く、腰,肩,腕に負担がかかる。
- ⑤ 部品を排水口に流さないよう作業しなければならず、神経を使う。
- ⑥ ペール缶に部品と水を入れると10数kgになり、その運搬は重筋作業でもある。これらの負担から作業者を解放するため、職場の要望を取り入れながら手作りの部品洗浄装置を製作することとなった。
遊休品の中古洗濯機と温風ヒーターを利用して、洗浄装置と乾燥装置を製作した(写真1)。
洗浄装置については、自作した脱着可能の部品カゴ(写真2)を洗濯機にセットし、エアーシリンダーによってスイングさせる機構を取り付けた(図1)。
さらに、水中にエアーを吹き出して部品を撹はんさせるエアーブロー機能を追加したことにより、洗濯機本来の水流と相まって強力な洗浄効果が得られた(写真3)。これらの機能は洗濯機本体とは別に設置された操作盤のタイマーでセットすることができ、洗濯機の給水に合わせて自動運転ができる。
乾燥装置については、かつて寒冷な環境であった職場で使われていたが、現在は全体空調となったため放置されていた温風ヒーターを利用して製作した。
洗浄の終わった部品を乾燥用の部品カゴに移し、専用台車の上にセットする、スタートスイッチを押すと上方から温風が吹きかけられる。
さらにカゴにエアシリンダーを取り付け、振動させることによって均一に温風が当たるように工夫して効果を上げた(図2)。
また、これらは洗浄装置同様タイマーにより運転時間を設定できる。
以上の改善により作業者は、濡れた床で滑る危険、火傷する危険、不良姿勢、重筋作業等から解放された。
また、洗浄機・乾燥機ともにタイマーでセットしておけば、離れた場所で他の作業に取りかかれるので効率的になった。
平成10年1月〜3月
5万円(材料費)
無し