石油製品・石炭製品製造業
当職場では、ディーゼルエンジンの燃料噴射ポンプ製造行程において、研削盤の砥石を定期的に交換する作業がある。従釆までの砥石交換作業は、次の手順で行っていた。
- ① 研削器からチェーンブロックにより古い砥石を軸ごとつり上げ、砥石交換専用治具まで運搬する(図1)。
- ② 砥石を砥石交換専用治具にセットし、砥石を軸に固定しているボルトとフランジを外す。
- ③ 古い砥石を3人で持ち上げ、台車に載せて砥石置き場へ運搬する(図2)。
- ④ 新しい砥石を砥石置き場から台車に載せ、砥石交換専用治具まで運搬する。
- ⑤ 新しい砥石を3人で持ち上げて台車から降ろし、砥石軸にはめる(図2)。
- ⑥ フランジとボルトを止め、組み立てた砥石をチェーンブロックにより研削盤まで運搬する。
しかし、この作業①〜⑥は、砥石が重量物であることから、作業者の腰部への負担が大きく、また、手指のはさまれ、足への砥石の落下などの問題があった。
次のような砥石軸と砥石の脱着治具を考案した(写真1)。この治具を用いた作業は、従来作業の[3]から[5]までの作業を改善するものである。この治具を用いた砥石交換作業は、次のとおりである。
- ① 砥石交換用治具にセットされている古い砥石に、脱着用治具の上部をはめ込む。
この作業は治具の側面壁が開閉扉となっているので、砥石軸が砥石交換専用治具にセットされたまま実施できるものである。 - ② 開閉扉を閉め(ピン止め)、チェーンブロックにて砥石脱着用治具を引き抜く。
これにより砥石軸から砥石が外れる。 - ③ 脱着用治具の上部を下部に載せ(上部と下部はピン止め)、ハンドリフトにより砥石置き場へ運搬する。脱着用治具は幅が狭い方の側面も閑閉扉となっているので、砥石をスライドさせ、砥石置き場へ移動することができる(図3)。
- ④ 新しい砥石の取付けは、上記取外し作業を逆の順番で行う。
重量物である砥石をチェーンブロックにより治具ごと運搬し、砥石軸にはめ込むようにしたので、作業者が入力で持ち上げる作業がなくなり、腰痛の問題がなくなった。また脱着時の手指のはさまれ等の危険が減少した。
平成8年6月〜9月
450,000円/セット
無し