製鉄・製鋼・圧延業
錫メッキ職場では、前工程より送られてきたコイルを受け入れた後、コイル外周部および内径部の不良部をカット(除去)し、スクラップバッグ(自重:2.9t、最大収容量:7.3t)に投入して回収している。スクラップバックは、3カ所に設置されており、それぞれ2日に1回程度の頻度で交換・搬出の作業を行っている。
このスクラップバッグの交換・搬出の作業は、ヤード内に設置されているテレコン操作式の天井クレーンを使用して行っているが、同クレーンにはフック旋回装置がない。
従って、本作業を行うためには、テレコン操作者、玉掛け補助者の2人作業となっていた。この作業は、スクラップバッグ吊り上げ時に玉掛け補助者が治具でクレーンフックを支え、旋回誘導しスクラップバッグの吊手部に挿入していた。また、スクラップバッグの吊手部からクレーンフックをはずす場合も同様に玉掛け補助者が、クレーンフックの外れ止めのツメを治具で支えることが必要であった。
これまでの作業方法では、玉掛け補助者がどうしても必要であったが、吊り荷の直近で作業をしなくてはならないうえ、治具でクレーンフックを支えるためには、かなりの熟練と力が必要不可欠であり、玉掛けレス化を進めるためにも大きな障害となっていた。
玉掛け補助者なしにテレコン操作者のみでスクラップバッグの交換・搬出作業を行うためにクレーンフック方向変換誘導板を考案した。この誘導板は、クレーンフックの外れ止めを、クレーンフックに触れることなしにスクラップバッグの吊手部からはずす機能も備えている。
実際の作業手順を以下に示す。
- ① クレーンフックに白くペイントでマークしてあるラインを、スクラップバッグ吊手部に溶液したクレーンフック方向変換誘導板([1])のレベルまで下げて合わせる(写真参照)。
- ② この位置でクレーンを吊手部に横行させると、クレーンフックが誘導板に当たり、誘導板のカーブに沿って自動的に旋回し、スクラップ吊手部の正面を向く。
- ③ さらにクレーンを横行させると、自動的にスクラップバッグ吊手部にクレーンフックが挿入される。
逆にクレーンフックをスクラップバッグ吊手部からはずす場合は、
- ① クレーンフックを少し下げて、外れ止め誘導板([2])上にクレーンフックの外れ止めを微少移動させる。
- ② 再度クレーンフックを下げるとスクラップバッグ吊手部から、クレーンフックが外れる。
- 本考案により、クレーンフックに治具等で触れることなく、スクラップバッグを交換・搬出することができ、吊り荷の直近の作業がなくなった。
- 他の玉掛け作業においても、クレーンフック方向変換誘導板を取り付けることによって、同様の効果が期待できる。
- 玉掛け補助者が不要となるため、作業性が向上した。
平成4年10月〜平成4年12月
廃材の利用および自主製作により0円
無し