建築工事業
建設工事において、設備機器の取り付け作業は多く、特に、省エネルギー、個別空調等のため、天井内に多数の空調機を設置する作業が多くなった。天吊型空調機(天井埋込型空調機とも言うが、以下では天吊型と記す)は重量が約190〜300kgもあるが、これを天井に取り付けるには、従来フォークリフトや気圧式揚重機で持ち上げ、あらかじめ天井に装着されている吊り棒にナットで取り付け空調機を固定していた。
この作業は、災害ポテンシャルが高く、かつ、作業性も悪く、次のような問題があった。
- ① 高所作業あり、墜落、転落、切れ・こすれ、挟まれなどの危険性があり、作業性も悪い。
- ② 大きく、重い空調機を持ち上げるのに、本体や付属物、工具等の乗せ方の不具合やまた、異常の振れで、それらが飛来・落下するおそれがあり、近傍での作業は危険である。
- ③ 空調機の取り付けは、高所で行うので、水平積度をかくほすることが容易でない。
これらの問題を解決するため、上階の床上から吊り上げ、上階の床上で取り付け作業をする方式を考え、このための吊上型揚重機を開発した。
吊上型揚重機(写真参照)は、キャスター(①)とアウトリガー(②)の付いた、本体(③)に、同時に4本のワイヤーが巻き上げられるウインチ、(④)、滑車(⑤)および吊り上げるワイヤーを搭載している。吊り上げ操作はリモコンスイッチで行うようにしている。
この吊上型揚重機で安全性と作業性の両面からみて最も重要な事項は、次の5項目である。
- ① 4本のワイヤーのうち、1本のワイヤーに偏荷重や過荷重があった場合、リミットスイッチガ作動し、モーターをとめ、吊り上げ作業を停止させる。
- ② ワイヤーの巻き上げ、巻き過ぎ防止のために、分銅により突きあげを検知する突きあげリミットスイッチを取り付けている。
レバーを押しあげることにより、リミットスイッチを作動させ、モータを停止するようにした。 - ③ ワイヤーの乱巻き防止装置を取り付けている。ワイヤーを下げる際に分銅が下階の床についているにもかかわらず、巻きおろしを続けないように、ウインチの回転をウォームギヤーから歯車に、そしてカムに伝達し、適切に設定された回転数にてカムがリミットスイッチを働かせモータを停止させるようにした。なお、さらに下降させたい場合は、もう一度下降スイッチを押すと下降する。
- ④ 1本ワイヤーの定格荷重は120kg以下としている。
- ⑤ 床上でのリモコン操作者と床下階で空調機を取り付ける作業者の間には、トランシーバにより作業の連絡を密にする。
1,000余機の取付作業を行った結果、次のような効果があった。
- 高所作業が安全に楽に行うこができた。
- 1台当たり約半分の省力化ができた。
- 空調機を水平に取り付けることができた。
平成3年5月〜9月
約150万円
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