自動車・同付属品製造業
プラスチック部品の物性評価のために、従来スライサー装置を使用して、試験品を切り出す作業が行われていた。スライサーの切刃は露出しており、形状が多種、かつ起伏に富む試験品の切り出し作業に当たっては、刃の近くに手を向けることが多く、「手を切りそうになった」とのヒヤリ・ハット事例が出されていた。
そこで、スライサー作業中、刃が露出状態になるのをカバーできれば、安全に作業ができるという命題のもとに検討を行うこととした。
改善したスライサー装置の構造、本考案のポイントを図に示す。
第1のポイントは、図2A部に示した安全カバー(回転カバー)である。これはプラスチックの円板を2枚張り合わせたもので、このカバーの上下の動きをガイドするカム溝を取りつけた構造になっている。なお、2枚のプラスチック円板には、穴をあけて軽量化を図っている。これにより、安全カバーは軟らかいフォーム品でも形状に沿ったスムーズな動きが可能になった。さらに、倣いはじめの時、カバーが上下するようにカム溝の先端を手前方向に曲げを入れる等の工夫も加えた(写真)。
第2のポイントは、図2B部に示す刃幅調整ガイド部である。従来、手で上下させてネジで止めていたものを、手元にハンドルをつけ、それを回転させて上下で きるようにし、しかも自重による落下を防止するラチェット機構装備した。また、鋸刃が回転中であることを示すため、点滅灯を取りつけ一層の安全化を図った。
- 刃の露出部分がなくなり、切刃による手の切傷の心配がなくなった。
- 無理のない姿勢で容易に刃幅の調整ができるようになった。
- 刃の回転表示ランプを取りつけたことにより、不用意に手を出す心配がなくなった。
平成2年3月〜4月
材料費として15,000円/台
無し