自動車・同付属品製造業
部品の切断作業を帯のこ盤により行う作業は、部品を帯のこ盤のテーブル面に対して直角に固定し、任意の位置で切断を行うが、次の問題点があった。
- ① 帯のこ盤に部品(20kg〜60kg)を手で持ってセットするが、無理な姿勢により腰痛を起こす、手や指が滑って挟まれる等の危険があった。
- ② 部品を直角にする際に、のこ歯下部に頭を入れて作業を行うため、設備に挟まれるなどの危険があった。
- ③ 部品は、バイスで締め付けて固定していたが、位置ズレが起こりやすく、作業性が悪かった。
問題点を解決するために部品のセットと固定を目的とした治具を作成した。
考案した治具の構造、特徴およびセットまでの流れ。
- ① 治具専用台車に載せた治具に、部品を載せ、固定フックと位置決めピンによりセットする。位置決めピンは、さまざまな位置でセットできるよう工夫されており、反転防止のためにストッパーが取り付けられている。
- ② 部品を載せたスライドを前端まで移動させる。反転防止ストッパーは、この位置で初めて外れる仕組みとなっている。
- ③ 部品を反転させる。この位置で部品は帯のこ盤のテーブル面に対して直角となる。固定ボルトを締めて固定する。この反転作業は、φ50mmエアーシリンダーにより、小さな力でできるようになっている。
- ④ 最後に治具専用台車を帯のこ盤のテーブル端まで移動し、部品を固定した治具を台車からスライドさせ帯のこ盤にセットする。切断位置に合わせて治具をスライドさせて切断を行う。治具にはベアリングが取り付けてあり、スムーズに移動できるように工夫されている。
また、この治具は、部品を直角に固定するだけでなく、必要とする角度に固定できるようになっている。
- 手作業と無理な姿勢による重い部品の帯のこ盤へのセットがなくなり、手指の挟まれおよび腰痛の防止の効果が得られた。
- 部品を帯のこ盤上で固定する作業がなくなり、機械による挟まれ等の危険を減らすことができた。
- 部品の反転が5kgfと小さな力で行うことができるようになり、作業性が向上した。
- 治具による固定のため、切断位置がしっかりと固定できるため作業性が向上した。
平成7年2月〜6月
9万6千円
無し