製鉄・製鋼・圧延業
通常、運搬用天上走行クレーンは、運搬用台車カバー(鋼の温度低下防止用保温カバー)の取り付けおよび取り外し専用として、トングを装着して使用している。玉掛け作業を行うときは、トングをクレーンフックより取り外さなければならない。この取り外し作業には、クレーンの無線操縦装置操作者と補助者の2名が必要なうえに、次のような問題があり、改善が求められていた。
- ① フック外れ止め金具を外す作業は、高所で足場の狭いトング置き台のタラップ上やトングの吊りビーム上で行っているため、墜落や転落の危険がある。
- ② フック外れ止め金具を手で引っ張ったまま、巻き下げたフックをトングのフック掛けピンから外すため、手を挾む危険がある。
- ③ 作業者2名を必要とし、作業時間が20分/回かかる(写真1)。
- ① トングとクレーンフックの連結方法を改善(チェーン使用)して、フック外れ止め金具の止めボルト・ナットを無くした。
- ② スムーズにチェーンが受け台に乗るように、チェーン収納案内板を取り付けた。
- ③ チェーン受け台は、左側のものと右側のものとで130mmの高低差をつけ、1フックごと手鈎により取り外せるよう工夫した(写真2、3)。
- ④ 無線操縦装置を操作しトングを置き台に置く。
- ⑤ フックを徐々に下げながら、トングのチェーン収納案内板を利用し、チェーン受け台にリングを乗せる。
- ⑥ フック外れ止め金具を手鈎で引きながら、フックを巻き下げ、フックから片方のリングを外す。
- ⑦ 反対側に回り、さらにフックを巻き下げ③と同様の操作をする。
- トング置き台のタラップ上やトングの吊りビーム上での高所作業が無くなり、墜落や転落の危険が無くなった。
- チェーンを取り付けることにより、フックと吊り金具の衝突が和らぎ、安全に作業することができるようになった。
- 手鈎を使用することにより、リングに直接手を振れることなく作業ができるので、手を挾んだり、巻き込まれの危険が無くなった(図1)。
- 一人作業で、作業時間を5分/回に短縮することができた。
平成3年11月10日〜平成3年12月15日
3万円/台
無し