セメント・同製品製造業
セメント製造工程で付着性の強い原料(乾燥スラグ等)をベルトコンベヤーで搬送する場合、従来ベルトクリーナーや吸引ボックスを必要個所に設置し、発じん防止に努めてきた。しかし、搬送原料の付着性が強いため完全には除去できず、リターンローラー等の通過後、ベルトコンベヤー下部にこぼれ落ち、たい積する状況にあった。
ベルトコンベヤーは、半屋外(屋根と床のみで壁がない)に設置してあるため、外気条件の影響を受けやすく、周囲に粉じんを飛散させ作業環境を悪化させていた。また、このようにたい積した粉じんを定期的に手作業で取り除く作業が必要となり、作業者への粉じんばく露も懸念される等、安全衛生上、根本的改善対策の実施が望まれていた。
ベルトコンベヤーの形状等、構造の変更による改善には制約があるため、既存の吸引ボックスを次のように改造した。
- ① 吸引ボックス内に幅2mmの溝を切ったスリット入りパイプを取り付ける。
- ② 排風機の作動により、吸引ボックス内は負圧になる。
- ③ ここで、スリット入りパイプの両端は外気に開放されているので、吸引ボックス内の負圧により、スリットから空気が吹き出す。
- ④ 吹き出された空気がベルトに付着していたスラグを吹き飛ばし、集じん装置へと吸引される。
また吸引ボックスのベルトコンベヤーと接触する部分には、ベルトの廃材を使用して摩耗による劣化を防ぐ等工夫を加えた。
- リークエアーで吹き飛ばすため、ダストがベルトコンベヤーのキズ等に入っても完全に除去できる。
- ダストの飛散がなくなったため、作業者への粉じんのばく露等がなくなり、作業環境が改善された。
- 運転中の回転体近くでの作業が必要なくなった。
- 粉じん除去作業のために装置を停止する必要がなくなり、生産性が向上した。
- 集じん装置への排風量を減少させることができた。
- 同種の機器への応用が可能である。
平成元年7月〜12月
25,000円/台
有り