自動車・同付属品製造業
木材を使用した実験用の車の試作に当たり木材加工機による木工作業が行われる。従来加工機械より排出される木屑の回収はダクトを通じて集じん機によって一個所にまとめられる構成となっていた。
排出装置の末端は密閉されているため、定期的に木屑の回収が必要であり(3回/月1回平均8時間)、ホッパー部のスライド弁を手動で操作し、ダクトの中に 溜まった木屑回収箱に落したり、他の回収箱に移し替える作業が行われる。また、フィルターに付着した粉じんを叩き落とすことも行われ、木屑回収の際には多 量の粉じんが周囲に舞い、作業者は防じん服を着装し、ゴーグルをかける等、重装備で作業を行わなくてはならなかった。
ホッパー部の手動スライド弁部を撤去し、木材加工機械の停止時に開状態に、起動時に閉状態に作動する自動開閉弁を備えた木屑自動排出装置を考案した。
また、木屑回収箱(ドラム缶製、容量150L)も新たに製作し、ホッパーの受け口と回収箱との間で粉じんが漏れないようにスポンジを付け、脱着レバーに よってホッパーから離れる構造とした。これに加え、木屑が満杯となり、開閉が作動しなくなるのを防止するため、木屑の重量が10kgを超えると、その重量でスプリングバネが押し下げられ、回収箱の裏面に取り付けられたリミットスイッチが働き、集じん機が停止する機構とした。
なお、木屑排出状態(ホッパー受け口開)では、排出ファンが停止してからハタキ装置が作動してフィルターに付着した粉じんがふるい落とされる。
同時に、開閉弁が開きホッパーに溜まった木屑が回收される。
一方、木屑吸引状態(ホッパー受け口開)では、木屑がダクトを通じて吸引ファンによって回収されるが、開閉弁が閉じた状態でないと吸引ファンは作動しない構造になっている。この際、重い木屑はホッパーに落下し、軽い粉じんはフィルターに付着する。
外部には、フィルターを通った清浄な空気のみが上部から排出するので、密閉状態の木屑回収箱内では空気の回流は発生しない。
- 作業に伴う作業場への發じんがなくなり、作業環境が改善された。(粉じん濃度;2.89mg/m3→0.05mg/m3)*A測定値
- ゴーグルや防じん服等の重装備をすることがなくなり、作業がやりやすくなるとともに作業者のイライラが解消できた。
- 木屑の満杯状態を確認しなくても済むようになり、また、フィルターの目詰まりもなくなった。
- 木屑回収、清掃時間の短縮が図られた。(3回/月平均1回8時間→平均1回1時間)
平成3年1月〜3月、約20日間
20,000円
無し