陸上貨物取扱業
従来、土木・建築作業で用いる直径50〜100cm、長さ15〜18m、重量2〜5tの鋼管杭の陸上輸送は、木製くさびをポールトレーラーの荷台(回転テーブル)に前後4か所、釘で打ち付けて鋼管杭を位置決めして積み付け、さらにワイヤロープで締め付けて、行っていた。
このくさびの打ち付け作業では、鋼管杭の中心をとるのに手間がかかり、しかもクレーンでつった鋼管杭の下に潜り込む作業のため、鋼管にはさまれたり、当てられたりする危険があり、また、鋼管杭が転がるため、平坦な場所でしか作業ができなかった。さらに、カーブや坂の多い経路での輸送では、くさびがはずれてワイヤが緩み、荷崩れするおそれがあった。
鋼管杭の積み付け作業時の安全化、運搬時の荷崩れ防止を図るため、専用の積付台を製作した。
積付台は、肉厚1cmの鋼板と直径7cmの鋼棒を組み合わせて作り、鋼管杭の太さに合わせ、直径が50cm用、70cm用、100cm用の3種類を用意した(図32、33)。これにより、トレーラーの最大積載重量25t、道路運送車両の保安基準による制限高3.8mも超えることなく、鋼管杭を積むことができるようになった。
積付台を用いた積み込み作業は、次の手順で行われる。
- ① トレーラーの荷台(回転テーブル)に下段の積付台を固定し(写真35)、その切り込みに合わせて鋼管杭を積む。
- ② その上に上段の積付台を載せ、さらに鋼管杭を積んでいく。
- ③ 所定の本数を積み終えたら(写真36)、鋼管杭全体をワイヤロープで荷台に固定する。
なお、荷降ろし作業は、積み込み作業の逆の手順で行う。
- 積み付け作業中に、鋼管杭が転がることがなくなり、またクレーンでつった鋼管杭に当てられたり、はさまれたりすることがなくなり、安全に作業が行えるようになった。
- 運搬中のワイヤロープにかかる負担が小さくなり、荷崩れの危険性がなくなった。
- 鋼管杭をトレーラーの最大積載重量ぎりぎりの本数まで積めるようになり、運搬の効率がよくなった。
- 従来5人で1時間かかっていた積み付け作業が、3人でしかも40分で行えるようになった。
昭和62年8月〜9月
15万円(トレーラー2台分)
無し