鉄鋼業
本件は、生産ラインから出る鉄くず等のスクラップの回収作業における考案である。
従来は、ラインに設置しているスクラップバッグが満杯になると、クレーンによりダイナソア(スクラップ回収用の専用トラックに載せる荷台)に移し替ていたが、その玉掛け作業に際して、ダイナソア用デッキからダイナソア内へ渡るとき、両者のすき間(200〜1,000mm)に足を踏み外す危険があった(図17)。このすき間は、2種類の専用トラックを使っているため狭めることができず、デッキ側の改善が望まれていた。
デッキとダイナソア間の間隔に対応できるように、固定デッキ側に収納可能な移動式デッキを考案した。その側面図と平面図、さらに各部の構造を図18に示す。
トラックがダイナソアを積み降ろす際には、移動式デッキは固定デッキ下側に納め、玉掛け作業者がダイナソアに出入りするときに引き出して、すき間をなくし安全に渡れるようにした(写真19)。この移動式デッキには、ストッパー付きキャスター、ロックピンが付けられ、スムーズにセットできるようになっている。また、移動式デッキに渡る位置には、固定式デッキ側に観音開き式の手すり(90°開くと止まるストッパー付き)が設けられており、その先のはしごまで安全に渡れるようになった。写真20は、作業者がダイナソア内で4点づりハッカーから2点づりに掛けかえるため、はしごを下りていくようすである。なお、スクラップバッグは2種類(10t、5t)使用しているが、その構造を図19に、またクレーンによる運搬の状況を写真21に、専用トラックがダイナソアを積み込む状況を写真22に示す。
移動式安全デッキを設置したことにより、固定デッキとダイナソア間に1,000mmのすき間があっても、その間隔に合わせて、デッキをセットできるため、作業者が足を踏み外し転落する危険性がなくなった。
昭和62年7月〜9月
特になし(廃材利用)
無し