鉄鋼業
本工場では、製品(橋梁鈑桁、以下橋桁と略す)の仮組立てのため、屋内で製作した橋桁を動力運搬車を使用して、屋外ヤードへ運び出す作業がある。この運搬作業を遂行する過程で、次の2つの問題点が指摘された。
- ① 当地は特に冬場になると西風が強く、時に20m/秒以上にも達する突風を直接受ける事態も起こり、製品の転倒防止対策が緊急課題となった。
- ② 運搬車上に橋桁を乗せて固定するにあたり、橋桁の上面、下面フランジを万力工具、補強材で固定を行っていたが、上面の固定の際には高所作業となり、命綱が必要であった。
作業環境上避けられない強風に耐え、しかも危険な高所作業を排除し、楽に作業ができる専用の橋桁固定治具を考案し、運搬車に取り付けた(写真35、36)。
治具の概要は次の通りである。
- ① 従来使用していた運搬車(4.5×2.3×0.8m、最大荷重50t)上に300mmのH型鋼を平行に2本取り付けた(写真37)。
- ② H型鋼に馬型引掛金物10個(片側5個)を取り付けた(写真37)。
- ③ 馬型金物の24.5mmの孔にノックピンを入れ、固定できるようにした(写真38)。
- ④ ノックピンがずれないように、ずれ防止金物を取り付けた(写真39)。
こうして、運搬車に橋桁を積み込み、固定した状態で計算上16m/秒程度の強風に耐えられる強度も確保した。
なお、他の製品等の運搬にあたっては、馬型金物を落込方式にしたことにより、通常の状態でも運搬車は利用できる。
- 簡単でしかも短時間で橋桁を固定できるようになった(従来の1/3に短縮)。
- 高所作業がなくなり、安全に作業ができるようになった。
- 1人作業が可能になった。
- 橋桁は5本まで乗せることが可能になった(従来は3本)。
- クレーンの待ち時間も減少した。
昭和62年12月〜昭和63年1月(1台製作)
35万5,000円(材料費7万円、加工費28万5,000円)
不明