密閉方式のホルムアルデヒドガス滅菌器等に関する特定化学物質障害予防
規則の適用について
事 務 連 絡
平成20年3月26日
都道府県労働局労働基準部
労働衛生主務課長 殿
厚生労働省労働基準局安全衛生部
化学物質対策課化学物質評価室長
密閉方式のホルムアルデヒドガス滅菌器等に関する特定化学物質障害予防規則の
適用について
ホルムアルデヒドをその重量の1パーセントを超えて含有する製剤その他の物については、労働安全衛
生法施行令の一部を改正する政令(平成19年政令第375号)及び特定化学物質障害予防規則等の一部を改
正する省令(平成19年厚生労働省令第155号)によりこれまで義務づけられていた特定化学物質作業主任
者の選任等に加えて、作業環境測定の実施等が義務づけられている。
一方、医療、歯科医療等の現場において、ホルムアルデヒドガス滅菌器等(以下「滅菌器等」という。)
が普及しているが、これらの機器の中には、密閉方式の装置で、かつ装置内での自動中和処理により、
滅菌対象器具を滅菌後に取り出す際にホルムアルデヒドが別の化学物質に変化していることから残存しな
い状態になっているものがある。
このような滅菌器等を稼働させることにより行われる医療器具、歯科医療器具等の滅菌作業(滅菌対象
器具の出入作業を含む。以下「滅菌等作業」という。)等を行う場合における特定化学物質障害予防規則
(昭和47年労働省令第39号。以下「特化則」という。)の主な措置の適用については下記のとおりである
ので、了知されたい。
記
1 発散抑制措置について
ホルムアルデヒド水溶液を滅菌器等に補給する作業及び滅菌器の点検作業(以下これらを「補給作業
等」という。)並びに滅菌等作業について、ホルムアルデヒドのガスが発散しない場合は、局所排気装
置及びプッシュプル型換気装置の設置は要しないこと。
2 作業主任者について
補給作業等及び滅菌等作業について、ホルムアルデヒドのガス等に労働者の身体がばく露されるおそ
れがない場合には、作業主任者の選任は要しないこと。しかしながら、例えば、補給作業等においてホ
ルムアルデヒドが漏えいすることなどにより、労働者がホルムアルデヒドにばく露されるおそれがある
場合には、作業主任者を選任の上、汚染され、吸入しないように作業の方法を決定し労働者を指揮させ
ること等の措置を行う必要があること。
3 作業環境測定について
補給作業等及び滅菌等作業について、例えばホルムアルデヒドが存在しないことにより労働安全衛生
法施行令(昭和47年政令第318号)第21条第7号の「特定化学物質を製造し、若しくは取り扱う屋内作業
場」に該当しない場合には、作業環境測定の実施は要しないこと。
また、当該作業場に該当する場合であっても、当該作業が臨時的頻度で実施されることにより昭和46
年5月24日付け基発第399号の記のVIの3の(1)の「常時」に該当しない場合は、作業環境測定の実施は
要しないものであること。
ただし、法第65条第5項の規定により指示が行われた場合は、この限りでないこと。
4 健康診断について
補給作業等及び滅菌等作業について、当該作業場所においてホルムアルデヒドのガスが発散しない場
合には、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)第13条第1項第2号ヲ
の業務に該当しないことから、安衛則第45条に基づく特定業務従事者の健康診断は要しないこと。
また、ホルムアルデヒドのガスが発散する場合であっても、滅菌作業が臨時的頻度で実施されること
により安衛則第45条第1項の「業務に常時従事する労働者」に該当しない場合は、特定業務従事者の健
康診断は必要ないこと。
なお、ホルムアルデヒドが漏えいし、労働者がホルムアルデヒドにより汚染され、又は吸入したとき
は特化則第42条の緊急診断を遅滞なく実施すべきことに留意すること。
5 作業の記録について
補給作業等及び滅菌等作業について、当該作業が臨時的頻度で実施されることにより特化則第38条の
4の「常時作業に従事する労働者」に該当しない場合は、特化則第38条の4に基づく作業の記録(労働者
の氏名、従事した作業の概要及び当該作業に従事した期間、特別管理物質により著しく汚染される事態
が生じたときはその概要及び事業者が講じた応急の措置の概要)は要しないこと。
厚生労働省発表資料:
平成19年12月の特定化学物質障害予防規則等の改正(ホルムアルデヒド、1,3-ブタジエン、硫酸ジエチル)