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労働安全衛生法 第七章 健康の保持増進のための措置
(第六十四条−第七十一条)

労働安全衛生法 目次

第六十四条  削除

(作業環境測定)
第六十五条  事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、
 厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなけれ
 ばならない。
  前項の規定による作業環境測定は、厚生労働大臣の定める作業環境測定基準に従つて行わなければな
 らない。
  厚生労働大臣は、第一項の規定による作業環境測定の適切かつ有効な実施を図るため必要な作業環境
 測定指針を公表するものとする。
  厚生労働大臣は、前項の作業環境測定指針を公表した場合において必要があると認めるときは、事業
 者若しくは作業環境測定機関又はこれらの団体に対し、当該作業環境測定指針に関し必要な指導等を行
 うことができる。
  都道府県労働局長は、作業環境の改善により労働者の健康を保持する必要があると認めるときは、労
 働衛生指導医の意見に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、作業環境測定の実
 施その他必要な事項を指示することができる。

(作業環境測定の結果の評価等)
第六十五条の二  事業者は、前条第一項又は第五項の規定による作業環境測定の結果の評価に基づいて、
  労働者の健康を保持するため必要があると認められるときは、厚生労働省令で定めるところにより、施
 設又は設備の設置又は整備、健康診断の実施その他の適切な措置を講じなければならない。
  事業者は、前項の評価を行うに当たつては、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の定
 める作業環境評価基準に従つて行わなければならない。
  事業者は、前項の規定による作業環境測定の結果の評価を行つたときは、厚生労働省令で定めるとこ
 ろにより、その結果を記録しておかなければならない。

(作業の管理)
第六十五条の三  事業者は、労働者の健康に配慮して、労働者の従事する作業を適切に管理するように
 努めなければならない。

(作業時間の制限)
第六十五条の四  事業者は、潜水業務その他の健康障害を生ずるおそれのある業務で、厚生労働省令で
 定めるものに従事させる労働者については、厚生労働省令で定める作業時間についての基準に違反して、
 当該業務に従事させてはならない。

(健康診断)
第六十六条  事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第
 六十六条の十第一項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければなら
 ない。
  事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところ
 により、医師による特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。有害な業務で、政令で
 定めるものに従事させたことのある労働者で、現に使用しているものについても、同様とする。
  事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところ
 により、歯科医師による健康診断を行なわなければならない。
  都道府県労働局長は、労働者の健康を保持するため必要があると認めるときは、労働衛生指導医の意
 見に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、臨時の健康診断の実施その他必要な
 事項を指示することができる。
  労働者は、前各項の規定により事業者が行なう健康診断を受けなければならない。ただし、事業者の
  指定した医師又は歯科医師が行なう健康診断を受けることを希望しない場合において、他の医師又は歯
  科医師の行なうこれらの規定による健康診断に相当する健康診断を受け、その結果を証明する書面を事
  業者に提出したときは、この限りでない。

(自発的健康診断の結果の提出)
第六十六条の二  午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、そ
 の定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間における業務(以下「深夜業」と
 いう。)に従事する労働者であつて、その深夜業の回数その他の事項が深夜業に従事する労働者の健康
 の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するものは、厚生労働省令に定めるところにより、
 自ら受けた健康診断(前条第五項ただし書の規定による健康診断を除く。)の結果を証明する書面を事
 業者に提出することができる。
  
(健康診断の結果の記録)
第六十六条の三  事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第六十六条第一項から第四項まで及
 び第五項ただし書並びに前条の規定による健康診断の結果を記録しておかなければならない。

(健康診断の結果についての医師等からの意見聴取)
第六十六条の四  事業者は、第六十六条第一項から第四項まで若しくは第五項ただし書又は第六十六条
 の二の規定による健康診断の結果(当該健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者に係る
 ものに限る。)に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定
 めるところにより、医師又は歯科医師の意見を聴かなければならない。

(健康診断実施後の措置)
第六十六条の五  事業者は、前条の規定による医師又は歯科医師の意見を勘案し、その必要があると認
 めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の
 回数の減少等の措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設又は設備の設置又は整備、当該医師又は
 歯科医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会(労働時間等の設
 定の改善に関する特別措置法(平成四年法律第九十号)第七条に規定する労働時間等設定改善委員会を
 いう。以下同じ。)への報告その他の適切な措置を講じなければならない。
  厚生労働大臣は、前項の規定により事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため必要な指
 針を公表するものとする。
  厚生労働大臣は、前項の指針を公表した場合において必要があると認めるときは、事業者又はその団
 体に対し、当該指針に関し必要な指導等を行うことができる。

(健康診断の結果の通知)
第六十六条の六  事業者は、第六十六条第一項から第四項までの規定により行う健康診断を受けた労働
 者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該健康診断の結果を通知しなければならない。

(保健指導等)
第六十六条の七  事業者は、第六十六条第一項の規定による健康診断若しくは当該健康診断に係る同条
 第五項ただし書の規定による健康診断又は第六十六条の二の規定による健康診断の結果、特に健康の保
 持に努める必要があると認める労働者に対し、医師又は保健師による保健指導を行うように努めなけれ
 ばならない。
  労働者は、前条の規定により通知された健康診断の結果及び前項の規定による保健指導を利用して、
  その健康の保持に努めるものとする。

(面接指導等)
第六十六条の八 事業者は、その労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働
 省令で定める要件に該当する労働者(次条第一項に規定する者及び第六十六条の八の四第一項に規定す
 る者を除く。以下この条において同じ。)に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面
 接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うこと
 をいう。以下同じ。)を行わなければならない。
 労働者は、前項の規定により事業者が行う面接指導を受けなければならない。ただし、事業者の指
 定した医師が行う面接指導を受けることを希望しない場合において、他の医師の行う同項の規定によ
 る面接指導に相当する面接指導を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限
 りでない。
 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第一項及び前項ただし書の規定による面接指導の
 結果を記録しておかなければならない。
 事業者は、第一項又は第二項ただし書の規定による面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を
 保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師の意見を聴かなけれ
 ばならない。
 事業者は、前項の規定による医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の
 実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講
 ずるほか、当該医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への
 報告その他の適切な措置を講じなければならない。

第六十六条の八の二 事業者は、その労働時間が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める時
 間を超える労働者(労働基準法第三十六条第十一項に規定する業務に従事する者(同法第四十一条各号
 に掲げる者及び第六十六条の八の四第一項に規定する者を除く。)に限る。)に対し、厚生労働省令で
 定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。
 前条第二項から第五項までの規定は、前項の事業者及び労働者について準用する。この場合において、
 同条第五項中「作業の転換」とあるのは、「職務内容の変更、有給休暇(労働基準法第三十九条の規定
 による有給休暇を除く。)の付与」と読み替えるものとする。

第六十六条の八の三 事業者は、第六十六条の八第一項又は前条第一項の規定による面接指導を実施する
 ため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(次条第一項に規定する者を除く。)の労働時間の状
 況を把握しなければならない。

第六十六条の八の四 事業者は、労働基準法第四十一条の二第一項の規定により労働する労働者であつて、
 その健康管理時間(同項第三号に規定する健康管理時間をいう。)が当該労働者の健康の保持を考慮し
 て厚生労働省令で定める時間を超えるものに対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面
 接指導を行わなければならない。
 第六十六条の八第二項から第五項までの規定は、前項の事業者及び労働者について準用する。この場
 合において、同条第五項中「就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等」
 とあるのは、「職務内容の変更、有給休暇(労働基準法第三十九条の規定による有給休暇を除く。)の
 付与、健康管理時間(第六十六条の八の四第一項に規定する健康管理時間をいう。)が短縮されるため
 の配慮等」と読み替えるものとする。

第六十六条の九 事業者は、第六十六条の八第一項、第六十六条の八の二第一項又は前条第一項の規定に
 より面接指導を行う労働者以外の労働者であつて健康への配慮が必要なものについては、厚生労働省令
 で定めるところにより、必要な措置を講ずるように努めなければならない。

(心理的な負担の程度を把握するための検査等)
第六十六条の十 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の
 厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握す
 るための検査を行わなければならない。
 事業者は、前項の規定により行う検査を受けた労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、
 当該検査を行つた医師等から当該検査の結果が通知されるようにしなければならない。この場合におい
 て、当該医師等は、あらかじめ当該検査を受けた労働者の同意を得ないで、当該労働者の検査の結果を
 事業者に提供してはならない。
 事業者は、前項の規定による通知を受けた労働者であつて、心理的な負担の程度が労働者の健康の保
 持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するものが医師による面接指導を受けることを希望する
 旨を申し出たときは、当該申出をした労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による
 面接指導を行わなければならない。この場合において、事業者は、労働者が当該申出をしたことを理由
 として、当該労働者に対し、不利益な取扱いをしてはならない。
 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の規定による面接指導の結果を記録しておかな
 ければならない。
 事業者は、第三項の規定による面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な
 措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師の意見を聴かなければならない。
 事業者は、前項の規定による医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実
 情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずる
 ほか、当該医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告そ
 の他の適切な措置を講じなければならない。
 厚生労働大臣は、前項の規定により事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため必要な指
 針を公表するものとする。
 厚生労働大臣は、前項の指針を公表した場合において必要があると認めるときは、事業者又はその団
 体に対し、当該指針に関し必要な指導等を行うことができる。
 国は、心理的な負担の程度が労働者の健康の保持に及ぼす影響に関する医師等に対する研修を実施す
 るよう努めるとともに、第二項の規定により通知された検査の結果を利用する労働者に対する健康相談
 の実施その他の当該労働者の健康の保持増進を図ることを促進するための措置を講ずるよう努めるもの
 とする。

(健康管理手帳)
第六十七条  都道府県労働局長は、がんその他の重度の健康障害を生ずるおそれのある業務で、政令で
 定めるものに従事していた者のうち、厚生労働省令で定める要件に該当する者に対し、離職の際に又は
 離職の後に、当該業務に係る健康管理手帳を交付するものとする。ただし、現に当該業務に係る健康管
 理手帳を所持している者については、この限りでない。
  政府は、健康管理手帳を所持している者に対する健康診断に関し、厚生労働省令で定めるところによ
 り、必要な措置を行なう。
  健康管理手帳の交付を受けた者は、当該健康管理手帳を他人に譲渡し、又は貸与してはならない。
  健康管理手帳の様式その他健康管理手帳について必要な事項は、厚生労働省令で定める。

(病者の就業禁止)
第六十八条  事業者は、伝染性の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかつた労働者に
 ついては、厚生労働省令で定めるところにより、その就業を禁止しなければならない。

(受動喫煙の防止)
第六十八条の二 事業者は、室内又はこれに準ずる環境における労働者の受動喫煙(健康増進法(平成
 十四年法律第百三号)第二十八条第三号に規定する受動喫煙をいう。第七十一条第一項において同じ。)
 を防止するため、当該事業者及び事業場の実情に応じ適切な措置を講ずるよう努めるものとする。

(健康教育等)
第六十九条  事業者は、労働者に対する健康教育及び健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るた
 め必要な措置を継続的かつ計画的に講ずるように努めなければならない。
  労働者は、前項の事業者が講ずる措置を利用して、その健康の保持増進に努めるものとする。

(体育活動等についての便宜供与等)
第七十条  事業者は、前条第一項に定めるもののほか、労働者の健康の保持増進を図るため、体育活動、
  レクリエーションその他の活動についての便宜を供与する等必要な措置を講ずるように努めなければな
  らない。

(健康の保持増進のための指針の公表等)
第七十条の二  厚生労働大臣は、第六十九条第一項の事業者が講ずべき健康の保持増進のための措置に
 関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
  厚生労働大臣は、前項の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導等を行うことができる。

(健康診査等指針との調和)
第七十条の三  第六十六条第一項の厚生労働省令、第六十六条の五第二項の指針、第六十六条の六の厚
 生労働省令及び前条第一項の指針は、健康増進法第九条第一項に規定する健康診査等指針と調和が保た
 れたものでなければならない。

(国の援助)
第七十一条  国は、労働者の健康の保持増進に関する措置の適切かつ有効な実施を図るため、必要な資
 料の提供、作業環境測定及び健康診断の実施の促進、受動喫煙の防止のための設備の設置の促進、事業
 場における健康教育等に関する指導員の確保及び資質の向上の促進その他の必要な援助に努めるものと
 する。
  国は、前項の援助を行うに当たつては、中小企業者に対し、特別の配慮をするものとする。