この報告書は、警備業で昭和60年の一年間に発生した労働災害554件について、労働者死傷病報告(休業4日以上)に基づき分析した結果から、災害の実態、要因を明らかにし、警備業における労働災害の特徴と安全衛生上の問題点を指摘している。次に、具体的な労働災害防止対策として、安全衛生管理体制、個々の業務に応じた安全な作業方法のあり方、設備・作業環境の安全環境について検討し、健康管理対策、安全衛生教育、非常災害に対する措置についても言及している。
死傷病報告書による分析は、企業の規模、被災者の職種、作業の種類、性別、災害起因物、事故の型、不安全な状態・行動等について実施している。その結果、例えば、警備業における労働災害には次のような特徴がある。
(1)施設等の警備のため、建物内外を巡回中に発生した災害が最も多く(約30%)、その多くは「転倒」「転落」「衝突」等の災害である。
(2)建物・道路等の工事現場で車両の誘導作業中に発生した災害が約20%を占めている。また、この災害の半数以上が死亡災害であり、きわめて危険性の高い作業である。
(3)被災者の年齢が50才以上の、いわゆる高年齢者で、全体の約60%を占めている。
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