平成6年に一部を除き製造および使用を禁止された石綿に替わり、ガラス繊維をはじめとする人造鉱物繊維およびウォラスナイトに代表される天然繊維(「ガラス繊維等」)の用途、使用量は増加の傾向にある。中央労働災害防止協会では、昭和63年度から平成5年度にかけて「石綿代替品の製造に係る労働衛生に関する調査研究委員会」を設置し、ガラス繊維等の主として健康影響について調査を行った結果いくつかの解決すべき問題点が指摘された。[1]ガラス繊維等の生体影響について研究している研究者が使用している試料が必ずしも同一のものではないため横断的な評価を困難にしていること。[2]石綿に比べてデータベースが十分に整備されていないことである。
平成8年度に学識経験者および業界代表者から構成される「ガラス繊維等の疫学的調査に関するデータベースの作成および有害性試験のための標準試料作製方法の研究委員会(略称;ガラス繊維等委員会)」を設置し、検討を行った。ガラス繊維等委員会は、3年度の計画で設置されており、今年度は作成する必要のある繊維の種類とその製造方法、データベースの基本設計および疫学調査の可能性等について、作業部会(標準繊維作製部会、データベース部分)を開催し、検討を行った成果を取りまとめたものである。
有害性評価試験用の標準繊維試料は11種類作製し、標準繊維試料は、石綿代替繊維としてのMMMF(6種類)、ウィスカ(3種類)、天然鉱物繊維(1種類)、有機繊維(1種類)がそれぞれ含まれているが、十分に純粋な試料と判定された。また有機繊維試料を除いてin vitroおよびin vivo実験による有害性評価試験にも十分に使用できる繊維試料であると判断された。
データベースは、知識データベース、事例データベース、関連機関データベース、人的データベース、その他の5つに分類して検討された。
参考資料として、WIPO著作権契約(仮訳)、産業医科大学にて所有する文献一覧等が添付されている。
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