ヒトは一生の間に腰痛を経験しないものはないと言われるほど、腰痛は多い。また、現在は腰痛がない人でも、重いものを持ち上げたり、無理な姿勢をとったり、捻ったりして、必ず腰痛を経験することになる。膨大な人数であろう腰痛予備軍とも考えられる人々の腰痛発症を予防することは、本人の家庭的、経済的、社会的、そして精神的抑圧や負担を軽減することはもとより、社会的にも医療費の節約につながり、産業界では就労人口の確保にもつながるであろうことは、すでに欧米等の腰痛予防教室(Back School)で実証されている。
特に、今世紀末から21世紀老齢人口が膨大な数になり、その介護労働従事者の身体的負担は大変なものとなる。介護労働は、屈み込んでの労働が主体となるため、腰痛の発症を考えなければならない。
この介護労働をする人々の腰痛の発症を予防することは、21世紀の医療社会の絶対条件と考えられる。現今の日本における腰痛の治療学は、高度に進歩しているが、腰痛予備軍への予防措置は、大変貧しいと言わざるを得ない。
腰痛予防の最先端に位置するであろう腰痛予防教室を設立し、それを十分に活用するためには、腰痛の疫学、解剖学、運動学、Biomechanics、腰痛予防体操、腰痛治療用及び予防用の装具、そして、リハビリテーション医学の 腰痛予防教室への導入方法を研究する必要がある。
以上のような観点から、本研究では、まず、腰痛学級の先進国の現状を調査すると共に看護従事者の腰痛に関する疫学的調査を実施した。次いで、大学付属病院の新入看護婦を対象に 腰痛教室を実施し、具体的な効果について検討している。
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