平成6年、「新素材の製造および使用作業に係る労働衛生対策に関する調査研究委員会」は、新素材を従来にない新たな機能を付加させた素材と定義し、これにあてはまる材料を調べ分類した上で、それらの製造方法、生産動向等を調査し、さらに「新素材」を包括的に捕らえて、その労働衛生上の問題について文献的な調査を実施した。
平成7年度は、この前年度の調査結果を踏まえ、「無機系新素材」、「有機系新素材(エンジニアリングプラスチック)、「金属系新素材(シリコン、化合物半導体、レアアース)」についてアンケートによる労働衛生の実態調査を実施することとなった。特に、新素材の製造現場では、どのような化学物質が使用されているのかということを中心に調査を行い、労働衛生の3管理等の実施状況を明らかにすることとなった。あわせて、アンケート調査において事業場での使用が認められた化学物質について有害性等に関する文献調査を行うこととなった。
この方針に従い、5回の委員会を開催し、3回に及ぶ工場見学をふまえたアンケート調査および文献調査を実施し、その結果をまとめたものである。これにより、新素材を製造する事業場では、どのような物資を使用し、どのような労働衛生管理等を進めているのか等を明らかにすることができた。
(1)各業界合計の製造従事者数、年齢階層、(2)製品別年間生産量、(3)安全衛生管理、(4)作業環境測定、(5)作業標準書への労働衛生対策に関する事項の記載、(6)一般健康診断結果に基づく健康影響について、(7)労働の衛生教育、(8)業界別に使用する未規制化学物質、(9)ヒヤリ・ハット、災害事例、安全衛生委員会の主要議題等について調査結果が出されたほか、有害性があまり知られていないいくつかの物質が使用されているという事実が判明した。また、それらの物質を使用するにあたり、実施している安全衛生対策の情報源は、そのほとんどをMSDSによっているものと思われると報告されている。
参考資料として、「新素材製造等における労働衛生についてのアンケート」文献調査、安全衛生委員会の主要議題一覧、作業環境測定の概要一覧、ヒヤリ・ハット一覧等が添付されている。
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