我が国の労働災害による被災者数は、全体としては、減少傾向にあるものの、今なお70万人に及んでおり、なかでも死亡災害はここ数年2,500人前後で増減を繰り返している。
製造業における平成4年の死亡者数は392人であったが、休業4日以上の死傷者数は、53,653人で、これを事故の型別にみると、32.4%は「はさまれ・巻き込まれ型」 災害であり、最も高い割合を示している。規模別度数率をみると、30〜49人の事業場は、1,000人以上の事業場と比べ、約9倍もの高率となっている。
中央労働災害防止協会では、中小企業の労働災害防止を重点施策の一つとして取り上げ具体的対策等の検討を進めてきた。今回、その一環として製造業のうち「はさまれ・巻き込まれ型」災害の割合が高い「紙加工品製造業」を対象として、「紙加工品製造業に係る安全衛生対策に関する調査研究委員会」を設置して検討を行い、その結果を取りまとめたものである。
安全の基本は、安全工学上、「3E」が重要と言われている。すなわち、安全は、Engineering(技術、設備)、Enforcement(管理)及びEducation(教育)の3本柱が備わってはじめて達成されるものである。本書は、このうち主に現場における管理、教育に主眼を置いている。
本報告書は、まず労働災害を、災害の型別、原因別、作業別、職場・機械別、年齢別・経験年数別に分析し、安全衛生管理上の問題点を指摘し、労働災害防止対策を検討している。
さらに、これらに基づき、各作業部門における安全衛生対策を共通項目、貼合作業、製箱作業、倉庫・搬送作業に分類してガイドラインを取りまとめている。
また、労働災害防止対策を実施するに当たり、安全衛生の状況を自主的に点検して把握し、不十分な点について改善するために、安全衛生自己診断表を作成しているので、参考になる。
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