労働災害による死傷者数(休業4日以上)は全産業で257,240人で、このうち死亡者数は2,572人(1985年)であり、相対的には減少傾向を示している。
一方、このような状況の中で、我が国の近年の産業構造の変化は第一次産業労働者の減少に対して、サービス経済化の一層の進展に伴い第三次産業労働者は2,712万人と全産業の61.2パーセントを占めている。第三次産業における労働災害の死傷者数は85,661人(1985年)で、全産業の死傷者数対する発生率は33.3パーセントに達しており、第三次産業の労働者数の増加に伴い死傷者数も増加傾向にある。しかしながら、第三次産業の中にも多くの業種が含まれており、特に、サービス業についての労働災害の実体は明らかにされていないのが現状である。
本報告書は、サービス業の中の一つである保健・医療業の労働災害の実体を把握し、問題点を指摘し、労働災害の低減化を図るための基礎資料としてまとめられている。昭和60年に全国で発生した休業4日以上の労働災害のうち労働者死傷病報告書により1,297件について、その発生原因となった諸要素及びそれら相互の関係を解明するために、解析を行って、その結果をとりまとめたものである。解析の内容は、事業場の規模、被災者の年齢、職種、経験期間、作業の種類、事故の型、起因 物、不安全状態、不安全行動等の要因別にまとめたものを、さらに職種別、事故の型にクロス集計を行っている。
加えて、主要職種別に災害の特性要因図を作成している。
また、巻末には、労働災害事例が29件掲載されているので、参考になる。
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