新機能・高機能材料の生産加工の場所として産業界でクリーンルームが多く採用されているが、半密閉室内に機器・設備が高密度に配置されるクリーンルームには作業空間として特殊性がある。本書は昭和63年から平成2年に亘って中央労働災害防止協会が行った「クリーンルームの実態調査と安全衛生対策に関する調査研究」の成果をまとめたものである。 本書では先ずクリーンルーム環境の評価基準と評価法、評価のための試験項目を記してクリーンルームの状態を把握する尺度を示す。ついで安全対策を考える上でのクリーンルームの特徴的な因子として空調の方式、空気循環に伴う作業環境汚染、騒音、電離放射線、レーザー光線、マイクロ波、赤外線と紫外線、特殊材料ガスなど、有害因子を挙げて解説する。また電気的な危険因子として高電圧や大電流を使用する設備の多用、静電気の発生がある。多種類の酸や反応性の強い化学薬品の多用も指摘している。クリーンルームの構造的な危険因子として従業員のクリーンルームへの出入り口が管理されていること、循環空気の流通のために床がフリーアクセスとなっており、薬品漏れの対処が困難であること、危険・有害性の強いガスの使用のための設備の設置やその取り扱いがあることを挙げている。
クリーンルームを必要とする産業として精密機械産業、電気産業、食品産業、医薬品産業について、クリーンルームの運営規則、設備の保守点検、安全衛生のための対策など、実際に行われている管理方式を示している。クリーンルームに関係する災害の要因、法規制も含む。
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