疲労やストレスを感じることが少ない快適な職場環境の形成を目的として、快適職場指針が公表されてから7年以上が経過した。この間、多くの事業場において同指針に基づく快適職場づくりが積極的に行われ、総合的に「快適である」と評価する労働者の割合は上昇している。しかしそれはまだ3割台にとどまっており、必ずしも十分とは言えない状況である。一方においては、最近の厳しい経済社会情勢を反映してか、職場の人間関係、仕事の質や量、仕事への適性などの問題により、仕事や職業生活において強い不安やストレスを感じている労働者の割合は増加している。
本報告書は平成8年度から3ヵ年かけて、職場の人間関係、組織、仕事の進め方などソフト対策のあり方について調査研究したのをまとめたものである。快適職場づくりに実際に取り組んだ事業場においても、また「快適」という観点から職場改善に取り組んでこなかった事業場においても、快適職場づくりの問題点として資金面と職場快適化のノウハウを挙げており、これらの問題点を乗り越えていくために「ガイドライン」の開発が考えられた。
ガイドラインの基本的な考え方としては、「快適な職場環境の形成に資することを目的とし、継続的かつ計画的な職場快適化の取組みを効果的、効率的に実施するためのもの」とし、「取組みを行う際のガイドであって強制的な基準ではない」とした。また安全衛生マネジメントシステム指針の考え方に基づく「計画−実施−評価−改善」という一連の過程の取組により職場快適化の効果が高まるものとした。更に労働者のために行うものであることを基本とし、労働者の意見を反映するものとした。労働者が不快に感じている要因及び労働者が快適化に必要としている要因を定量的に評価する手法として「職場環境評価システム」を活用できるものとした等が考えられた。
本書は「ガイドライン」の本文、ならびに「ガイドライン」の解説、ガイドラインにおける「職場環境評価システム等の活用」方法、評価票、評価票記入要領、強度ランク決定の目安、評価ランク決定の目安、定量的評価分析フォーマットが一覧表や図示とともに掲載されている。
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