家具は生活に最も密着した生活必需品の一つであるが、自由に作れるようになったのは明治になってからである。今回調査の大川地区は日本の家具製造地区として有名で、中小数百の事業所がある。またこの地区ではいち早く製造工程を分業化し、大量生産を始めている。現在では接着や家具の塗装にいろいろな化学物質や有機溶剤を使用し、化学ペイントを多量に使用するようになっている。有機溶剤を取り扱う事業所は約500であるが、平成9年の有機溶剤健康診断受診者2574名のうち有所見率は13.1%に上り、高値であった。これら有所見率の高値の原因を調べるため、作業者への有機溶剤曝露量や生体への有機溶剤吸収量の実態調査と、神経学的な検査を踏まえ、健康影響調査が計画された。
調査は全有機溶剤対象事業所および作業所の調査を行うことを目的として、全作業所に調査希望等に係るアンケートを実施することから始めた。その後、希望事業所と作業者に曝露濃度、生物学的モニタリング、健康影響調査を実施し、その結果をまとめたものである。家具製造の過程は
これらの過程において幅広く有機溶剤が使用されている
事業所における主な使用溶剤は、トルエン、キシレン、メタノール、イソプロピルアルコール、酢酸メチル、酢酸ノルマルーブチル、スチレンセロソルブ類、ホルマリン等である。調査した単位作業場で保護具が常備されている、または使用している作業場は5分の1ほどで、有機ガス用防毒ではなく、ほとんどでガーゼマスクを使用していた。また、塗料やシンナー等の取扱いにゴム手袋を使用している作業者は見られなかったことも報告されている。
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