サービス経済化の進展等により、第3次産業の事業場数、労働者数ともに年々増加しており、これに伴い死亡及び休業4日以上の労働災害の被災者数に占める第3次産業の割合も増加している。ゴルフ場の事業については、平成2年にガイドラインが作成されているが、ゴルフ場の事業ではプレーヤーのプレー内容や進行状況に応じて作業内容が変化すること、管理監督者の目が届きにくいこと等の業界特有の事情があること、また近年では、作業に用いる機械装置の大型化や自動化、外部業者への業務委託の増加等作業形態も変化している状況にある。このような状況をうけ、 中央労働災害防止協会において労働災害防止対策の再検討を行い、その結果をもとに、最新の実態に即した「ゴルフ場の事業における労働災害防止のためのガイドライン」が改めて取りまとめられた。
本書はこのガイドラインに労働災害の現状、労働災害事例、モデル規程などを加え、具体的な労働災害防止対策の実施に資することができるよう作成された。労働災害の特徴としてはキャディの災害件数がもっとも多く次にコース管理員が多い。
原因別としては、以前多かった打球災害が減り、行動や機械災害の割合がふえている。安全衛生管理上の問題点として、事業者の労働災害防止に対する関心がまだ災害防止に結びついてないこと、機械装置が自動化、大型化が進み重症災害の発生が危惧されること、土曜、日曜、祝日、朝夕に仕事が集中するため作業に繁閑があり、災害発生に結びつく一因になっていること、パートタイマー、アルバイト等の採用が常態化し、これらの従業員に対する安全衛生教育及び適切な管理が十分に行われにくいこと、業務の委託が多いため委託業者に対する安全衛生の指導が課題で あること、屋外での作業が多く自然条件による影響を受けやすいこと等があげられている。また農業取り扱い作業も行われていることから、取り扱いの基本的事項の徹底や農業の保管管理、適正使用、中毒等の防止、散布時や散布後の注意事項、農薬中毒の応急処置もとりあげられている。
マニュアルの例が多数掲載され、キャディ関係事例には多数のイラストが描かれている。
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