この報告書は、無人搬送車を安全に使用するために、その選定、設置、運用、定期検査、教育等に関する留意事項について定めた「無人搬送車安全対策ガイドライン」及び同解説を主に記したものである。
同ガイドラインを作成する前に、委員会においては、まず無人搬送車を導入している事業場における使用の実態及び事故の事例並びに安全対策の現状等を調査し、更に安全対策上必要な実験を行うなどして、無人搬送車を使用する立場からの問題点を抽出し、安全対策についての検討を行っている。これについては、昭和62年9月の中間報告書にまとめられており、その一部抜粋が資料として、この報告書にも記載されている。
近年、運転作業の自動化の一環として無人搬送車が、FA化の進む生産現場をはじめとして、倉庫、商業等の業界で導入されてきているが、無人搬送車の導入に当たって安全に関する十分な検討が行われず、かつ、既設の作業環境条件の中に持ち込まれている場合が少なくなく、作業者が無人搬送車と接触して既存の機械設備との間に挟まれるとか、無人搬送車に激突される等の事故が起きている。即ち、無人搬送車は広い空間をしばしば人間と共用するため、人との接触によるヒヤリハット事例が見られるので、定置式の産業用ロボットに比べ、更に安全に配慮する必要がある。それ故、今後の自動化工場におけるシステムの計画、選択、設置、教育においては、フェールセーフに基づいた安全確認型の安全技術を目標とすべきである。
ガイドラインの構成は、総則、選定、設置、運用、定期点検、教育、その他ならなり、更に、点検部位・内容、点検表、点検基準書の例などが付録として添付されている。
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