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工夫・改善事例

鋼板荷役用自動取外しつり具

業種

製鉄・製鋼・圧延業

動機

製鉄所では、製造された鋼板を船に積み込んで出荷する荷役作業がある。

この作業はクレーンを用いて行われており、鋼板のつり具としては、マグネット式とハッカー式の2種類が使用されている。マグネット式のつり具は、1個約1tのマグネット6個で構成されたものであるが、重量が重いため、クレーンでつり上げることができる鋼板の数が少なく、荷役作業効率のよいハッカー式のつり具(写真1)には、次のような問題があった。

  1. ① 鋼板を運搬する船の安定性を考えると、鋼板の積み高さを低くする必要がある。そのためには、先に積み込んだ鋼板と次に積み込む鋼板との間にはさむ仕切り板の厚さを小さくし、上下の鋼板の間を10mm〜20mm程度にする必要がある。しかし、このすき間では鋼板を積み下ろした後、つり具が上下の鋼板の間にはさまり、人力ではつり具を抜くことができなくなるので、つり具を大ハンマーでたたいて抜き取る必要がある。
  2. ② つり具を大ハンマーでたたいて抜き取るとき、作業者が大ハンマーで足などを打つ危険があるほか、たたき出されたつり具が跳ねて作業者にあたる危険があった。
  3. ③ 大ハンマーの重量(6.7kg)が重く、また、1人1時間あたり平均で40〜60回と打撃する重筋作業となっている(特に腰部にかかる負担が大きい)

内容

上記のような問題を解決するため、次に示す自動つり具を考案した。

  1. 寸法・構造(図1
    寸法;670mm(高さ)×247mm(幅)
    構造;鋼製のつり具本体とつりピンより構成されている。
  2. 自働つり具の使用方法
    1. ① 鋼板に図2のように自働つり具を掛け、クレーンによって船内に運搬する。この時、つりピン、自働つり具の上部先端にありワイヤにより引っ張られた状態にある。
    2. ② 先に運搬した鋼板の上に自働つり具により新たな運搬した鋼板を載せる。この時、つり具は鋼板にはさまれ図3のようになる。
    3. ③ 次にワイヤーロープを巻き下げていくとつりピンは自重により溝に沿って下がり図4の位置に納まる。
    4. ④ 図4の状態になった時、ワイヤーを巻き上げると図5のように自働つり具下部の凸部に納まり、さらに巻き上げると、てこの原理で自働つり具が鋼板から抜ける。
  3. 工夫した点等
    つり具に動力を用いるとマグネット式のものと同様に重くなるので、従来のハッカー式のものに近い重量とするため、てこの原理を利用する方式のものとした。
    なお、現在は自働つり具に取っ手とバランサーを付けることでつり具を鋼板にセットしやすくしている(写真2

効果

  1. 大ハンマーの打撃作業による足などのケガやつり具の飛びはねによる危険を防止することができた。
  2. 大ハンマーの打撃作業がなくなったため、重筋作業の低下につながった。
  3. つり具の抜き取り作業にかかる時間を減らすことができ、作業能率が向上した。

期間

平成8年5月〜8月

費用

15万円

特許・実用新案申請の有無

有り

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