製鉄・製鋼・圧延業
転炉設備の底吹ノズルは、転炉の炉底に4本取り付けられている。転炉の吹練中は、ノズルより鋼浴撹拌駆動力源としてのCOガスが吹き込まれているが、非吹練中は、ノズルの閉塞防止策として窒素ガスが吹き込まれる。
このノズルは、炉の修理ごと(1回/2カ月)に取り替えが必要で、取り付け前には3段階にわたって流量検査やリーク検査等を実施している。
- ① 特性検査→ノズルの隙間値や流量特性の検査
- ② 充填材封入後検査→充填材封入後の性能検査
- ③ リーク検査→各ジョイント部の漏れの最終検査
一連の検査では、ノズルを人が手で保持して20kgf/cm2の高圧窒素をノズルに通過させるため、その反動でパイプを保持している手を設備にぶつけたり、ノズルの先端部からの連続噴射による金属音が120dBにも達していた。
また、ノズルの先端部からは、多量の窒素が噴出されるために酸欠の危険性もあった(写真)。
そこで、ノズル先端部からの連続噴射による騒音問題と酸欠問題等を解決するために、検査専用の測定ノズルホルダーと騒音防止用装置を考案した。
従来までの検査方法では、ノズルを人が手で保持をして検査を実施していたが、騒音防止装置と測定ノズルホルダーを考案することにより、ノズル先端部からの連続噴射による騒音を低減させることが可能となった。
まず、従来まで人が手で保持をしていたノズルの先端をゴムリングに挿入して測定ノズルホルダーで固定をする。そこへ、高圧窒素を送り込む。
ノズル先端から噴出される高圧窒素ガスは、グラスウールとパンチングメタルとで迷路状に構成された騒音防止装置を通過することにより、従来までのノズル先端からの連続噴射音は低減されて排気管へと排気される仕組みである。
ノズル先端を騒音防止装置に固定して流量測定が実施できるようになった。これにより、作業者が手でノズルを保持する必要もなくなり、ノズルより高圧の窒素が吹き出る時の反力によって、手を設備にぶつける等のヒヤリ事故をなくすことができた。
従来の激しい連続噴射音は、120dBから75dBにまで40dB以上もの低減効果が認められ、また、一人でも安全に効率良く検査作業を進めることができるようになった。
平成6年3月〜平成6年10月
136,000円/台
無し