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工夫・改善事例

ナトリウム付着機器の洗浄装置

業種

電気業

動機

高速増殖炉で、軽水、重水のかわりに、金属ナトリウム(Mp=98℃、比重0.8〜0.9、粘性約0.5、比熱 水の約3分の1、熱伝導率水の約100倍、中性子の減速・吸収が水の300分の1)を冷却材として使用することで、発電効率を上げるべく、実験を繰り返している。

ナトリウムの導管は800℃近くまで上るため、全体として、膨張および収縮が著しい。

そこで、その膨張・収縮を吸収するために配管には数多くのベローズ(ジャバラ状の配管)を取り付けてある。また、溶融ナトリュウムのベーパーをトラップするためにステンレスのメッシュを重ねたフィルターを使用している。

これらに付着したナトリウムを除去するために、従来は水蒸気洗浄を行っていた。ところが事前に物理的除去(熱によって溶解する等)を行っていても完全に除去できていないナトリウムは、水および空気と激しく反応し、また、その反応速度が速すぎるために、煙の発生等により、被洗浄物が目視できない状態で作業を行っていた。同時に、発生した反応熱により、被対象物が燃えたり、傷ついたりすることもあるうえ、水素爆発を引き起こす可能性もあった。

構造が複雑な洗浄対象物については、水素ガスの滞留が生じたり、水蒸気が間隔部まで届かず、ナトリウムの残留が生じることがあったため、安全で効率のよい洗浄方法の開発が必要であった。

内容

従来のナトリウム洗浄、取扱い技術の経験を応用し、ナトリウムの反応・酸化を抑制する不活性ガスを加熱して、水蒸気と混合した後、噴射ノズルから洗浄対象物へ噴射して洗浄する方法を考案した。

この装置は、従来の水蒸気供給源と供給ホースおよび噴射ノズルに加えて、窒素ガスもしくはアルゴンガス供給源と窒素ガス加熱器水蒸気・窒素ガス混合チャンバー、および夫々の流量調整弁と流量計とを備えた導管として構成されている。

本考案により、

  1. ① 窒素ガスと水蒸気とを容易に混合することができる。また、水蒸気の体積密度を任意に調節できる。
  2. ② 少量の水蒸気でも、加熱した窒素ガスを混合することで、噴射圧力が高められる。
  3. ③ 混合ガス中の窒素ガスにより、複雑な構造物でも奥まで水蒸気が到達し、発生水素ガスの拡散が図れるメリットが生じた。

効果

  1. 混合ガスの水蒸気圧を調節することで、反応速度を制御でき、窒素ガスによりナトリウムの酸化反応(燃焼)、水素ガスの発火が抑制された。
  2. 透明な混合ガスの噴射が容易になり、反応状態わ確実に把握しながら洗浄できるので、安全に効率よい作業が行える。
  3. 複雑な構造物の洗浄も容易になり、作業効率が大幅に向上できる。

期間

昭和60年1月〜昭和60年3月

費用

約400,000円

特許・実用新案申請の有無

有り

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