鉄鋼業
シヤー、フライス盤等の操作により出てくるスクラップの処理のため、底面の開閉する機構をもつバッグを作製し、従来は廃却にあたり、3名の作業者により、手操作による底面の開閉作業を行っていた。
作業にあたり、安全管理上、次のような問題点が指摘された。
- ① 2名がつり荷(バッグ)に直接手をかけて、底蓋を閉じなければならない。
- ② 腰をかがめて、無理な姿勢で作業しなければならず、また足場も悪い。
- ③ 底蓋を確実に閉じるためには、2名の作業者のタイミングを合わさなければならない。
- ④ 2名の作業者による作業のため、広い場所を必要とする。
安定した姿勢で、しかも1名で危険もなく楽に作業ができる専用のスクラップバッグ(920×760×450mm、0.2t)を考案した(写真26)。
本バッグの特徴は次の通りである。
- ① バッグの底面が降下した時に、自重を利用して自動的に閉じる機構とした。
- ② バッグが床面に着地した時に、底面がスムーズに閉じるように底蓋の両側に大小8個のキャスターを取り付けた(写真26)。
- ③ バッグが完全に床面に着地すれば、底蓋が開かないように底部両開中央部に鉤を作製した(写真27、28)。
- ④ さらに、開口防止用鉤をバッグ側面に取り付けた(写真29、30)。
作業方法は、1名の作業者(専任者ではない)により、まずリフターを使用してバッグをスクラップ廃却場所まで運搬し、ホイストクレーンによりつり下げる。作業者によりバッグの側面および底部の鉤の部分がはずされると底蓋が開き、スクラップは自動的に落下する。底蓋は最大で両面80°の角度にまで開くので、スクラップの落下はスムーズである。スクラップの廃却後、バッグを床面に戻すと、底蓋は自重で自動的に閉じられ、鉤をかけて作業は終了する。
スクラップの廃却作業が容易になり、挟まれ、無理な姿勢での作業がなくなった。また、作業は1名で可能となり、しかも作業時間は従来の1/3に短縮できた。
昭和63年1月〜2月
約30万円
無し