輸送用機械等製造業
当事業場では、定盤上で車両の振動特性の試験を行っており、定盤の高さ方向の微調節にはレール定盤を用いている。このレール定盤は、長さ30〜200cm、重量20〜150kgのものである。
従来、レール定盤の運搬作業は、40kg以下のものは2名でレール定盤の溝に治具を差し込んで持ち上げ、手押し車に乗せていた(写真21)。また、40kg以上のものは、ホイストクレーンを用いて手押し車に乗せていたが、いずれの作業でも、レール定盤の落下によるけがや挟まれの危険があったほか、腰痛のおそれもあり、作業方法の改善が望まれていた。
レール定盤に直接手を触れず、小さい力で運搬できるよう改善を進めた結果、レール定盤をつり下げて運搬する手押し車を考案、製作した(図19、20、写真22)。
考案のポイントは、次の通りである。
- ① 手押し車の中央部に配置したつり下げ機構には、てこの原理を応用し、150kgのレール定盤が20kg以下の力で支えられるようにした。
- ② つり下げ時のレール定盤の床上高さを安全靴のつま先が入らないように5cmとした。
- ③ 手押し車下面のレール定盤の当たる位置にウレタンゴムを張り付け、運搬時のずれ、がたつきを防止した。
- ④ つり下げステーは、レール定盤の溝に容易に差し込むことのできる形状とした。
- ⑤ ハンドルの高さが作業者の腰の位置(床面から80cm)とした。また、レール定盤をつり下げた状態を保てるよう、バーを固定するロックピンを設けた。
- ⑥ 作業者からレール定盤の位置を確認できるよう、手押し車を格子状とした。
- レール定盤に手を触れる作業がなくなったほか、手押し車の上からレール定盤を落とすこともなくなり、けがをする危険が小さくなった。
- てこの応用により、1/9程度の力でレール定盤を支えられるようになり、腰痛のおそれがなくなった。。
- レール定盤の運搬作業に要する作業延工数時間が90分から20分に短縮できた。
昭和61年11月〜昭和62年2月
5万円程度(外注での概算)
無し