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別添4
基発0331第25号
平成28年3月31日
別記の関係事業者団体の長 殿
厚生労働省労働基準局長

「労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める化学物質による
健康障害を防止するための指針の一部を改正する指針」の周知について(協力依頼)

 労働基準行政の推進につきましては、平素より御協力を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第28条第3項において、厚生労働大
臣は、がんその他の重度の健康障害を労働者に生ずるおそれのある化学物質で厚生労働大臣が定めるもの
を製造し、又は取り扱う事業者が当該化学物質による労働者の健康障害を防止するための指針を公表する
こととされており、これまでに2−アミノ−4−クロロフェノール等34物質が定められ、労働安全衛生法
第28条第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める化学物質による健康障害を防止するための指針(平成24
年10月10日付け健康障害を防止するための指針公示第23号。以下「がん原性指針」という。)が公表され
ております。
 今般、日本バイオアッセイ研究センターにおいて4−ターシャリ−ブチルカテコール他2物質について
哺乳動物を用いた長期毒性試験を実施し、これについて厚生労働省労働基準局長が専門家を参集して開催
した「化学物質のリスク評価検討会」の「有害性評価小検討会」において検討されました。その結果、こ
れらの物質について実験動物にがんを引き起こすことが確認され、ヒトに対するがん原性は現在確定して
いないが、労働者がこの物質に長期間ばく露された場合に、がんを生ずる可能性が否定できないことから、
がん原性指針により健康障害防止措置について指導を行うことが適当との結論が得られたところです。
このため、厚生労働省労働基準局長が開催した「化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会」
において、この物質について健康障害を防止するための対策について検討がなされ、がん原性指針に規定
した措置と同様の措置を講じることが必要であると結論づけられました。
 また、特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号)において、エチルベンゼンの塗装業務につ
いて発がん性に着目した健康障害防止措置を義務付けているところですが、がん原性指針においても、法
令により規制の対象とされなかった業務のうち、所要の措置を講じる必要がある業務について、「労働安
全衛生法第28条第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める化学物質による健康障害を防止するための指
針の一部を改正する指針(平成28年3月31日付け健康障害を防止するための指針公示第26号)(以下「指針公
示第26号」という。)」を別添1のとおり策定し、同日付け官報に公示したところです。これによりがん原
性指針が別添2の新旧対照表のとおり改正され、改正後のがん原性指針(以下「改正指針」という。)は別
添3のとおりとなります。
 つきましては、貴団体におかれましても、改正指針の趣旨を御理解いただき、改正指針及び下記の留意
事項について傘下会員に対する周知を図られますとともに、これらの化学物質による健康障害の防止対策
が適切に行われるようお願い申し上げます。
 なお、従来発出した指針の施行通達においては、指針の全般的事項及び改正事項の両方を示してきたと
ころですが、本通達以降、指針の改正に当たっては改正事項のみを示すこととし、指針の全般的事項につ
いてはこれまでに発出した各通達の内容を取りまとめた上で別途通達を発出することとしましたので、併
せて御了知ください。
第1 改正指針に追加された対象物質等及びそれらに係る改正指針に基づき講ずべき措置に関する留意事
 項
  改正指針の対象物質は、これまでがん原性指針が定められていた2−アミノ−4−クロロフェノール
 等34物質に加え、法第28条第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める化学物質として追加された以下
 の4物質(カッコ内はCAS登録番号を示す。以下これらを「エチルベンゼンほか3物質」という。)である。
 ・エチルベンゼン(100-41-4)
 ・4−ターシャリ−ブチルカテコール(98-29-3)
 ・多層カーボンナノチューブ(がんその他の重度の健康障害を労働者に生ずるおそれのあるものとして
  厚生労働省労働基準局長が定めるものに限る。)
 ・メタクリル酸2,3−エポキシプロピル(106-91-2)
  多層カーボンナノチューブのうち、がんその他の重度の健康障害を労働者に生ずるおそれのあるもの
 として厚生労働省労働基準局長が定めるものは、哺乳動物を用いた長期毒性試験で発がん性が確認され
 た、株式会社物産ナノテク研究所、ナノカーボンテクノロジーズ株式会社又は保土谷化学工業株式会社
 が製造した、MWNT-7(ナノサイズ(直径で概ね100nm以下)のものに限る。以下同じ。)及びNT-7Kである
 こと。
  これにより、MWNT-7又はNT-7K及びこれらを1%を超えて含有する物(以下「MWNT-7等」という。)に
 ついて改正指針に基づく措置が必要となるが、MWNT-7又はNT-7Kをナノサイズ(直径で概ね100nm以下)
 を超える粒径に造粒したもの又はこれらが樹脂等の固体に練り込まれている状態のもの等を取り扱う場
 合であって労働者がMWNT-7又はNT-7Kにばく露するおそれがないときは、改正指針に基づく措置を要し
 ないこと。ただし、当該造粒品や固体等を粉砕する等により労働者にMWNT-7又はNT-7Kへのばく露のお
 それがある業務については、改正指針に基づく措置が必要となること。
  エチルベンゼンについては、ガソリン等の燃料油にも含有されているが、リスク評価の結果、給油等
 の業務はばく露リスクが低いとされたことから、「ガソリンスタンド等における取扱業務」については、
 改正指針に基づく措置の対象業務には含まれないこと。ただし、エチルベンゼンに係る危険有害性等の
 表示及び譲渡提供時の文書交付は、法により義務とされていることから、当該業務においても、改正指
 針7(1)に示した措置を講じなければならないこと。
  エチルベンゼンほか3物質について適用される措置は、エチルベンゼンにあっては、改正指針3(3)、
 4(2)、56及び7(1)、4−ターシャリ−ブチルカテコール及びMWNT-7等にあっては、3(4)、4(3)、5、
 6及び7(3)、メタクリル酸2,3−エポキシプロピルにあっては、3(4)、56及び7(3)であること。

第2 参考資料
 1 物理化学的性質について
   エチルベンゼン及びメタクリル酸2,3−エポキシプロピルに係る物理化学的性質等の情報につい
  ては、「職場のあんぜんサイト」のGHS対応モデルラベル・モデルSDS情報を参照されたい。
 2 作業環境測定について
   改正指針によりがん原性指針の対象に追加されたエチルベンゼン、MWNT-7等及び4−ターシャリ−
  ブチルカテコールに関する作業環境測定の方法及び測定結果の評価に用いる指標(管理濃度等)につい
  ては、関係者の利便性の向上のため、エチルベンゼン、MWNT-7等及び4−ターシャリ−ブチルカテコ
  ールを含めたがん原性指針対象物質について取りまとめた上で、別途発出する予定のがん原性指針の
  全般的事項について示す通達に参考資料として示す予定であること。

第3 関係通達の改正
  「屋外作業場等における作業環境管理に関するガイドラインについて(平成17年3月31日付け基発第
  0331017号)」の別表第2を別紙のとおり改正することとしたこと。

第4 その他
  MWNT-7等を含むナノマテリアルについては、改正指針による措置に加え、「ナノマテリアルに対する
 ばく露防止のための予防的対応について(平成21年3月31日付け基発第0331013号)」によるばく露防止対
 策等が必要であることに留意すること。


                 (別添1、別添2及び別添3略)




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