別添
基発0521第1号
平成24年5月21日
日本印刷産業連合会会長 殿
厚生労働省労働基準局安全衛生部長

印刷業における化学物質による健康障害防止対策について

 有機溶剤その他の化学物質は、印刷業はじめ多くの事業場で使用されていますが、一部の化学物質につ
いては、特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号。以下「特化則」という。)及び有機溶剤中
毒予防規則(昭和47年労働省令第36号。以下「有機則」という。)で局所排気装置の設置、健康診断、作業
主任者の選任等が義務付けられているほか、「労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づき厚生労働大臣
が定める化学物質による健康障害を防止するための指針」(平成23年健康障害を防止するための指針公示
第21号。以下「がん原性指針」という。)が公表されているところです。
 今般、大阪府内の印刷事業場において、印刷業務に従事した労働者が胆管がんを発症したとする3件の
労災請求事案がなされたところです。
 現在までのところ業務との因果関係は不明であり、原因の究明作業中ですが、予防的観点から、労働安
全衛生法令及びがん原性指針に基づき、下記のとおり化学物質による健康障害防止対策の適切な実施につ
き要請したく、貴会傘下の会員事業場等に対し周知いただくようお願いします。
1 事業場で使用しているインク、洗浄剤等について、安全データシート(労働安全衛生法(昭和47年法律
 第57号。以下「法」という。)第57条の2による通知等をいう。以下「SDS」という。)によりその化学物
 質の成分を把握すること。

2 上記1で把握した成分に特化則の対象物質が含まれる場合には、及び特化則に基づき、労働者へのば
 く露防止のため、代替物の使用、局所排気装置等の設置、作業環境測定、特殊健康診断の実施、作業主
 任者の選任、作業の記録、安全衛生教育等の措置を確実に講ずること。

3 上記1で把握した成分にがん原性指針の対象物質が含まれる場合には、当該指針に基づき、作業工程の
 改善、局所排気装置等の設置、保護具等のばく露低減化措置、作業環境測定、労働衛生教育及び労働者
 の把握等を行うこと。

4 上記1で把握した成分に有機則の対象物質が含まれる場合には、及び有機則に基づき、労働者へのば
 く露防止のため、作業工程の改善、局所排気装置等の設置、一定の場合の呼吸用保護具の着用、作業環
 境測定、特殊健康診断の実施、作業主任者の選任、安全衛生教育等の措置を確実に講ずること。

5 上記2,3及び4に該当するものを除き、1で把握した成分に法第57条及び第57条の2の規定により表示等
 又は文書の交付等が義務付けられている物質が含まれている場合については、SDSの危険有害性情報に従
 って、換気、防毒マスクの着用等の自主的なリスクの低減措置を講じるとともに、法第101条の規定によ
 り事業場内に表示する等により労働者に周知を行うこと。


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