別紙 基安労発第0314002号 平成20月3月14日 (別記関係団体、事業者団体の長) 殿 厚生労働省労働基準局 安全衛生部労働衛生課長 地域産業保健センターにおける面接指導等の相談窓口における運用について 平素は、労働衛生行政の推進に多大な御理解・御協力を賜わり、感謝申し上げます。 さて、労働安全衛生法第66条の8に基づく医師による面接指導(対象者:時間外・休日労働時間が1月当 たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積の認められる者)について、平成20年4月1日から、常時50人未満 の労働者を使用する小規模事業場において適用され、その実施が義務づけられるとともに、同法第66条の9 に基づき面接指導に準ずる措置(対象者:同法第66条の8の医師による面接指導の対象者以外の者)の実施 に努めることになります。 これら面接指導等(同法第66条の8に基づく医師による面接指導及び同法第66条の9に基づく面接指導に 準ずる措置をいう。以下同じ。)の実施に当たっての細部事項については、平成18年2月24日付け基発第 0224003号「労働安全衛生法等の一部を改正する法律(労働安全衛生法関係)等の施行について」(以下 「施行通達」という。)において示しているところですが、小規模事業場における労働者の健康管理に資 するため、厚生労働省では、地域産業保健センターにおいて、平成20年4月1日から、面接指導等の相談窓 口を開設することとしています 以上のことを踏まえ、今般、地域産業保健センターにおける同事業の効果的かつ効率的な運営を図る観 点から、当該窓口における運用について、その対応方針を別添のとおり定めました。 貴団体におかれましては、関係会員事業場に対し、施行通達に掲げられている面接指導等に関する部分 及び地域産業保健センターにおける面接指導等の相談窓口の運用について、周知をいただくとともに、当 該窓口の活用に当たっては、特に、下記事項に留意いただくことを周知されるよう特段のご配慮をお願い 申し上げます。 なお、地域産業保健センターが行う各種事業の利用については、当該窓口の利用も含め無料であること を念のため申し添えます。 記 1 事業者の指示等により、当該面接指導の対象者が面接指導相談窓口において面接指導を受ける場合に は、同法第66条の8第2項の事業者が指定した医師が行う面接指導に該当するものであること。(別添の2) 2 事業者は、地域産業保健センターにおいて面接指導を行うことを希望する場合には、事前に、地域産 業保健センターと実施時期、人数等について協議、調整すること。(別添の3(1)) 3 事業者は、面接指導を行うに当たり、別紙1の様式例「労働安全衛生法第66条の8の面接指導に係る申 出書」の写し及び別紙2の様式例の労働安全衛生規則第52条の4第1号の当該労働者の勤務の状況を記した 書面(例えば、直近1ヶ月の総労働時間、時間外・休日労働時間、業務内容等を記した書面)を事前に、 又は当該労働者を通じて提出すること。(別添の3(2)) 4 事業者は、別添の3(4)に基づき地域産業保健センターから交付された別紙3の様式例「面接指導結果 報告書及び事後措置に係る意見書例」に沿った書面を、5年間保存しなければならないこと。 5 常時50人未満の労働者を使用する小規模事業場の労働者が、申出書及び事業場等からの情報を提出す ることなく、面接指導の実施を求めてきた場合であって、安全衛生規則第52条の4第1号の当該労働者の 勤務の状況が十分に把握できない場合には、当該労働者に対し、情報が十分得られないため面接指導を 実施できない旨説明した上で、当該労働者の事情等を勘案して「健康相談窓口」等において別途対応す ることとなるので、その旨を労働者に周知すること。(別添の4(1)) (参考) 平成18年2月24日付け基発第0224003号「労働安全衛生法等の一部を改正する法律(労働安全衛生法関係) 等の施行について」(抄) 7 面接指導等(第66条の8、第66条の9等関係) (1)面接指導(第66条の8関係) ア 第1項関係 (ア)脳血管疾患及び虚血性心疾患等(以下「脳・心臓疾患」という。)の発症が長時間労働との関連 性が強いとする医学的知見を踏まえ、これら疾病の発症を予防するため、医師による面接指導を実 施すべきこととしたものであること。また、労災認定された自殺事案をみると長時間労働であった 者が多いことから、面接指導の実施の際には、うつ病等のストレスが関係する精神疾患等の発症を 予防するためにメンタルヘルス面にも配慮すること。 (イ)面接指導を実施する医師としては、産業医、産業医の要件を備えた医師等労働者の健康管理等を 行うのに必要な医学に関する知識を有する医師が望ましいこと。 (ウ)面接指導の費用については、法で事業者に面接指導の実施の義務を課している以上、当然、事業 者が負担すべきものであること。 (エ)面接指導を受けるのに要した時間に係る賃金の支払いについては、当然には事業者の負担すべき ものではなく、労使協議して定めるべきものであるが、労働者の健康の確保は、事業の円滑な運営 の不可欠な条件であることを考えると、面接指導を受けるのに要した時間の賃金を事業者が支払う ことが望ましいこと。 (オ)派遣労働者に対する面接指導については、派遣元事業主に実施義務が課せられるものであること。 なお、派遣労働者の労働時間については、実際の派遣就業した日ごとの始業し、及び終業した時刻 並びに休憩した時間について、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整 備等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)第42条第3項に基づき 派遣先が派遣元事業主に通知することとなっており、面接指導が適正に行われるためには派遣先及 び派遣元の連携が不可欠であること。 イ 第4項関係 (ア)医師の意見聴取については、面接指導を実施した医師から、面接指導の結果報告に併せて意見を 聴取することが適当であること。なお、地域産業保健センターの医師により面接指導を実施した場 合は、事業者は当該医師から意見を聴取すること。 (イ)面接指導を実施した医師が、当該面接指導を受けた労働者の所属する事業場で選任されている産 業医でない場合には、面接指導を実施した医師からの意見聴取と併せて、当該事業場で選任されて いる産業医の意見を聴取することも考えられること。 ウ 第5項関係 (ア)面接指導実施後の措置の例として、医師の意見の衛生委員会等又は労働時間等設定改善委員会へ の報告を規定した趣旨は、Iの5(略)と同様であること。 また、衛生委員会等又は労働時間等設定改善委員会への医師の意見の報告に当たっては、医師か らの意見は個人が特定できないように集約・加工するなど労働者のプライバシーに適正な配慮を行 うことが必要であること。 (イ)特にメンタルヘルス不調に関し、面接指導を受けた結果として、事業者が労働者に対して不利益 な取扱いをすることがあってはならないこと。 (ウ)事業者は、面接指導により労働者のメンタルヘルス不調を把握した場合は、必要に応じ精神科医 等と連携を図りつつ対応することが適当であること。 (2)必要な措置(第66条の9関係) 面接指導の対象となる労働者以外の労働者であっても、脳・心臓疾患の発症の予防的な意味を含め、 健康への配慮が必要なものに対して、第66条の8第1項から第5項までの措置に準じた必要な措置を講ず るよう事業者に努力義務を課すものであること。 (以下略)