安全衛生情報センター
「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」(令和4年6月3日デジタル臨時行政調査会決定)に おいて、経済界からの要望を踏まえ、フロッピーディスク等を用いる申請・届出等のオンライン化につい て検討する方針が示された。当該方針を踏まえ、政省令において申請・届出の方法を定めている規定のみ ならず、民間事業者等に文書の作成・保存等を求めている規定等のうち特定の記録媒体を指定する規定に ついても、クラウドサービスや他の記録媒体を利用可能とするよう見直しを行うこととされ、令和4年10 月から政省令の規定の点検が行われ、令和4年12月に見直しに係る工程表(以下単に「工程表」という。) が公表された。 工程表を踏まえ、必要な見直しを行うために、デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するた めの厚生労働省関係省令の一部を改正する省令(令和5年厚生労働省令第165号。以下「改正省令」という。) が本日公布され、同日から施行された。改正省令による改正の内容等のうち、労働基準関係法令に係るも のについては下記のとおりである。貴職におかれては、下記について十分御理解の上、その運用に遺漏な きを期されたい。
第1 改正の趣旨 工程表を踏まえ、労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)等において民間事業者等に文書の作 成・保存等を求めている規定であって、磁気ディスク等の記録媒体の使用を求めている規定について、 クラウドサービス等の幅広い情報通信技術が利用可能であることを明確化するための見直しを行ったも の。 第2 改正の内容等 1 改正の内容 (1) 会議の議事録の内容等を労働者に周知させる方法について規定している以下の条項について、当 該内容等を記録する媒体として「磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物」又は「磁気 ディスク、光ディスクその他の記録媒体」が規定されているところ、「使用者(事業者)の使用に係 る電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体をもって調製するファイル」に改正し、技 術中立的な規定に見直したこと。 ・労働基準法施行規則第24条の2の4第3項第3号及び第52条の2第3号 ・労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第23条第3項第3号、第34条の2の8第2項第3号、第 98条の2第3項第3号及び第577条の2第4項第3号 ・有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号)第28条の3第3項第3号及び第28条の4第2項第3号 ・鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令第37号)第52条の3第3項第3号及び第52条の4第2項第3号 ・特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号)第36条の3第3項第3号及び第36条の4第2項 第3号 ・労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(令和4年厚生労働省令第91号)第11条中粉じん障害防 止規則(昭和54年労働省令第18号)第26条の3第3項第3号及び第26条の4第2項第3号の改正規定並 びに第13条中石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)第38条第3項第3号及び第39条第2 項第3号の改正規定 (2) その他所要の改正を行ったこと。 2 解釈及び留意事項 (1) 解釈 ア 「使用者(事業者)の使用に係る電子計算機に備えられたファイル」について 事業場において保有するサーバ(いわゆるオンプレミスのサーバ)等だけでなく、クラウドサー ビスの利用も含まれること。 イ 「電磁的記録媒体」について 従前の規定において例示されていた、磁気テープ、磁気ディスク及び光ディスクは引き続き使 用可能であること。その上で、フラッシュメモリや今後新たに開発される記録媒体等も含まれる こと。 (2) 留意事項 改正省令による改正前の規定においても、会議の議事録の内容等を記録する媒体については、 「その他これらに準ずる物」又は「その他の記録媒体」にクラウドサービスや規定上例示されてい ない記録媒体等が含まれないとは解してこなかったところであるが、今般の改正はそれらが利用可 能であることを規定上も明確にするための改正であり、改正前後で制度運用に特段の変更は生じな いこと。 以上