労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について

基発0329第5号
平成28年3月29日
都道府県労働局長 殿
厚生労働省労働基準局長

労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について

 労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(平成28年政令第50号。以下「改正政令」という。)及び労
働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成28年厚生労働省令第24号。以下「改正省令」という。)が平成
28年2月24日に公布され、平成29年3月1日から施行することとされたところであるが、その改正の趣旨、
要点等については、下記のとおりであるので、その施行に遺漏なきを期されたい。
 併せて、本通達については、別添のとおり、関係事業者等団体の長宛て傘下会員事業者への周知等を依
頼したので了知されたい。
第1 改正の趣旨
 1 改正政令の趣旨
   本改正は、「平成27年度化学物質のリスク評価に係る企画検討会報告書」(平成27年9月1日公表)を
  踏まえ、一定の有害性が明らかになった化学物質(別紙に示す27の化学物質(一部は群)。以下「追加
  対象物質」という。)を以下の(1)から(3)の事項の対象となる物質として追加するため、必要な改正
  を行うものである。
  (1) 労働安全衛生法の一部を改正する法律(平成26年法律第82号)による改正後の労働安全衛生法(昭
   和47年法律第57号)第57条第1項の規定による化学物質等の名称等の表示(ラベル表示)
  (2) 同法第57条の2第1項の規定による化学物質等の名称等の通知(SDSの交付)
  (3) 同法第57条の3第1項の規定による化学物質等の危険性又は有害性等の調査等(リスクアセスメン
   トの実施等)

 2 改正省令の趣旨
   本改正は、GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)に基づく分類を踏まえ、追加
  対象物質を含有する製剤その他の物に係る裾切値(当該物質の含有量がその値未満の場合、名称等の
  表示義務等の対象としない)を設定するものである。

第2 改正の要点
 1 施行期日及び経過措置
   施行期日は平成29年3月1日としたこと。ただし、この政令の施行の際現に存在するものについては、
  名称等の表示義務に係る法第57条第1項の規定は、平成29年8月31日まで適用しないこととしたこと。

 2 改正政令関係
  (1) 基本的事項
   ア 改正の基本的な内容
     本労働安全衛生法施行令改正の内容は、以下のとおりであること。
    (ア) 令別表第9に追加対象物質を追加すること。
      なお、追加対象物質は、日本産業衛生学会又は米国労働衛生専門家会議(ACGIH)において許
     容濃度等が勧告された物質から選定を行ったものであること。
    (イ) アルミニウムについては、粉状のものに限り名称等の表示義務の対象とすること。
   イ 事業者が実施すべき事項についての基本的な考え方
     追加対象物質について事業者が実施すべき事項についての基本的な考え方は、本通達によるほ
    か、「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律の施行について(平成12年3月24
    日付け基発第162号)」及び「労働安全衛生法施行令及び厚生労働省組織令の一部を改正する政令
    等の施行について(化学物質等の表示及び危険性又は有害性等の調査に係る規定等関係)(平成27
    年8月3日付け基発0803第2号)」等によるべきものであること。
   ウ 留意事項等
     追加対象物質は、職業性疾病(慢性)に関して安全に使用するための基準が示されている物質で
    あり、また他の事業者から入手する場合は安全データシートが当該事業者から通知されることに
    なる。そのため、事業場における化学物質管理がより容易となるものであり、行政として、事業
    者に対して令別表第9以外の物質への代替化を推奨するものではないことに留意すること。
  (2) 細部事項
   ア アルミニウム
     令別表第9第37号のアルミニウムについては、アルミニウム単体又はアルミニウムを含有する
    製剤その他の物(以下「アルミニウム等」という。)であって、サッシ等の最終の用途が限定され
    る製品であり、かつ当該製品の労働者による組立て、取付施工等の際の作業によってアルミニウ
    ム等が固体以外のものにならずかつ粉状(インハラブル粒子)にならないものは、一般消費者の用
    に供するものとして名称等の表示義務、名称等の通知義務及び危険性又は有害性等の調査等の対
    象にならないものとして取り扱って差し支えない。
   イ ブテン
     令別表第9第488号の2のブテンは以下の(ア)から(エ)の構造異性体を含むこと。
     なお、(イ)と(ウ)の混合物は2−ブテンと呼ばれ、別途CAS番号があるが、第488号の2のブテ
    ンに含まれること。
    (ア) 1−ブテン
    (イ) cis−2−ブテン
    (ウ) trans−2−ブテン
    (エ) イソブテン
   ウ メチルナフタレン
     令別表第9第582号の2のメチルナフタレンは、1−メチルナフタレン及び2−メチルナフタレ
    ンを含むこと。
   エ 沃素及びその化合物
     令別表第9第606号の沃素及びその化合物のうち、「その化合物」とは、沃化物をいうものであ
    ること。

 3 改正省令関係
  (1) 基本的事項
    追加対象物質の裾切値とCAS番号は別紙のとおりであること。
  (2) 細部事項
   ア ブテン
     令別表第9第488号の2のブテンとは、4つの異性体及びそれらの混合物を含む概念であるが、労
    働安全衛生規則別表第2のブテンの裾切値については、4つの異性体の総重量が製剤その他の物の
    重量の1%を超えるかどうかによって判断すべきものであること。またその含有量についてはブ
    テン全体の含有量を通知することでも差し支えないこと。
   イ メチルナフタレン
     令別表第9第582号の2のメチルナフタレンとは、1−メチルナフタレン及び2−メチルナフタ
    レンを含む概念であり、別表第2のメチルナフタレンの裾切値については、2つの異性体の総重量
    が製剤その他の物の重量の1%を超えるかどうかによって判断すべきものであること。



別紙PDFが開きます(PDF:45KB)
このページのトップへ戻ります