安全衛生情報センター
東日本大震災により発生した東北地方太平洋沖地震に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故により 放出された放射性物質に係る土壌等の除染等の業務又は廃棄物収集等業務(以下「除染等業務」という。) に従事する労働者の放射線障害防止を適切に実施するため、「東日本大震災により生じた放射性物質によ り汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則」(平成23年厚生労働省令第 152号。以下「除染電離則」という。)及び「除染等業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイ ドライン」(平成23年12月22日付け基発第1222第6号。以下「ガイドライン」という。)が示されていると ころである。 今後、除染の進展に伴い、除染特別地域又は汚染状況重点調査地域(環境モニタリングにより、平均空 間線量率が0.23μSv/hを下回ることが確認された地域を除く。以下「除染特別地域等」という。)におけ る、道路、河川等の重要な生活基盤の点検、整備のための作業の本格化が予想されるところであるが、警 戒区域内への一般的な公益立入による作業については、原子力災害対策本部より「警戒区域への一時立入 許可基準」(平成23年4月23日付け原子力災害本部長名文書。平成23年5月17日付け基安発0517第3号(以下 「0517通達」という。)参照)が示され、重要な生活基盤の点検・整備のための作業については「重要な生 活基盤の点検・整備のために警戒区域に立ち入る際の許可方針について」(平成23年12月22日付け原子力 災害対策本部文書。別添1参照。以下「許可方針」という。)及び「新たな避難指示区域における復旧に向 けた取組について(要請)」(平成24年2月14日付け、復興庁、原子力災害対策本部文書。別添2参照。)が示 されたところである。 このため、警戒区域内における一般的な公益立入に伴う作業については、引き続き、0517通達に定める ところにより関係事業場を指導することとするが、除染特別地域等において重要な生活基盤の点検・整備 の作業に従事する労働者の放射線障害防止については、下記のとおりとすることとしたので、関係事業場 に対する指導等に遺漏なきを期されたい。 なお、別添3により、岩手県知事、宮城県知事、福島県知事、茨城県知事、栃木県知事、群馬県知事、 埼玉県知事及び千葉県知事に対して通知していることを申し添える。 おって、本通達をもって、「「除染に関する緊急基本方針」及び「市町村による除染実施ガイドライン」 に基づく除染作業における労働者の放射線障害防止について」(平成23年9月9日付け基安発0909第1号)を 廃止する。
1 除染特別地域等において行われる生活基盤の点検、整備の作業の中に、伐木、枝打ち、草刈り、表土 のはぎ取り、土砂・草木・瓦礫等の除去・撤去・運搬、除去土壌・汚染廃棄物の収集・運搬・保管、屋 根・外壁・コンクリート・アスファルト等の洗浄・剥ぎ取り・削り取り、汚染された土壌・工作物等の 被覆等の作業(以下「除染類似作業」という。)が含まれる場合、除染等業務と同様の被ばくが予想され ることから、これら作業を実施する事業者は、ガイドラインに定めた措置のうち、必要な措置を実施す る必要があること。 ただし、除染類似作業を臨時の作業として行う場合(土工を主としない構造物の建設等)はこの限りで ないこと。 2 事業者は、除染特別地域等において、上記1に該当する作業を行う場合は、「許可方針」の別添2「事 業者が重要な生活基盤の点検・整備のために警戒区域に立入を行う場合に事業者が満たすべきことが必 要な事項」に定められている事項に加え、次に掲げる措置を実施すること。 (1) ガイドラインの第3に定める被ばく線量管理を実施すること。 (2) ガイドラインの第4に定める被ばく低減のための措置(第4の4を除く。)を実施すること。なお、第 4に定める事前調査、作業計画については、除染類似作業のみについて作成する必要はなく、他の作 業と一体となった施工計画等に含まれても差し支えないこと。 (3) ガイドラインの第5の汚染拡大防止、内部被ばく防止のための措置を適切に実施すること。なお、 第5の3の汚染検査の実施にあたっては、労働者のうち、除染類似作業に従事した者のみを対象とす ることで差し支えないこと。 (4) 除染類似作業に従事する労働者に対し、ガイドラインの第6の2の教育のうち、作業を実施する上で 必要な項目について教育を実施すること。 (5) 除染類似作業に常時従事する労働者に対しては、ガイドラインの第7に定める特殊健康診断の実施 等の健康管理措置を実施すること。 (6) ガイドラインの第8に定める安全衛生管理体制を構築すること。なお、除染類似作業のみに係る管 理体制を構築する必要はなく、他の作業を実施するための安全衛生管理体制と一体となった運用で差 し支えないこと。 3 事業者は、平均空間線量率が2.5μSv/hを超える地域において、上記1の除染類似作業の準備作業とし て屋外での線量測定、測量、現況調査等の作業を実施する場合は、ガイドラインの第3で定める被ばく線 量管理を実施すること。別添1(PDF:307KB)