安全衛生情報センター
女性労働基準規則の一部を改正する省令(平成24年厚生労働省令第78号)は本日公布され、平成24年10月 1日に施行される。改正の趣旨及び上記省令による改正後の女性労働基準規則(昭和61年労働省令第3号。 以下「則」という。)の内容は下記のとおりであるので、女性労働者の就業が禁止される業務の範囲等に ついての貴管下の関係事業者等に対する周知及びその円滑な施行に遺漏なきを期されたい。 なお、従前の関係通達の整理については別途通達する。
第1 趣旨 則第2条第1項第18号及び同条第2項の規定による女性労働者の就業を禁止する業務について、これまで、 鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗素、塩素、シアン化水素及びアニリンの9物質のガス、蒸気又は 粉じんを発散する場所における業務としてきたところである。 今般、「母性保護に係る専門家会合報告書(平成23年12月)」を踏まえ、則第2条第1項第18号及び同 条第2項の規定による女性労働者の就業を禁止する業務を、厚生労働省労働基準局によるGHS分類事業 において、生殖毒性若しくは生殖細胞変異原性が区分1A若しくは1B*1 に分類された又は授乳影響あり とされた26物質を発散する場所における業務であって、労働安全衛生法令の規定により呼吸用保護具 等の使用が義務付けられている業務及び労働安全衛生法令の規定による作業環境測定の評価の結果、 第3管理区分に区分された屋内作業場における業務(以下「有害物に係る就業禁止業務」という。)とす るための改正を行ったものである。 第2 内容 1 特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号)に規定する有害物のうちの14物質に係る業務 (則第2条第18号イ関係) (1) 当該規定は、有害物に係る就業禁止業務のうち、特定化学物質障害予防規則(以下「特化則」と いう。)において規制されている有害物のうちの14物質を発散する場所におけるものを規定するも のであること。 (2) 特化則に規定する有害物のうちの14物質を発散する場所における業務であって、特化則第22条第 1項、第22条の2第1項又は第38条の14第1項第11号ハ若しくは第12号ただし書の規定により呼吸用保 護具の使用が義務付けられている業務について、女性労働者を就かせてはならないものとするもの であること。(則第2条第18号イ(1)関係) (3) 特化則に規定する有害物のうち14物質を発散する場所における則第2条第18号イ(1)に規定する業 務以外の業務のうち、作業環境測定を行うべき作業場であって、特化則第36条の2第1項の規定によ る評価の結果、第3管理区分に区分された屋内作業場における業務については、女性労働者を就か せてはならないものとするものであること。(則第2条第18号イ(2)関係) 2 鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令第37号)に規定する有害物に係る業務(則第2条第18号ロ関係) (1) 当該規定は、有害物に係る就業禁止業務のうち、鉛中毒予防規則(以下「鉛則」という。)におい て規制されている有害物を発散する場所におけるものを規定するものであること。 (2) 鉛則第39条ただし書の規定により有効な呼吸用保護具を使用させて行う臨時の作業を行う業務及 び鉛則第58条第1項、第2項若しくは第3項の規定により有効な呼吸用保護具の使用が義務付けられ ている業務について、女性労働者を就かせてはならないものとするものであること。ただし、則第 2条第18号ロ(1)括弧書きにおいては、鉛則第58条第3項の規定により有効な呼吸用保護具の使用が 義務付けられている業務のうち、鉛則第3条各号及び第58条第3項ただし書の規定により、呼吸用保 護具の使用義務が適用除外されている業務を除外するものであること。(則第2条第18号ロ(1)関係) (3) 「鉛則第39条ただし書の規定により呼吸用保護具を使用させて行う臨時の作業」とは、粉状の鉛 等又は焼結鉱等をホッパーに入れる作業を行う場合(当該ホッパーの下方の場所に粉状の鉛等又は 焼結鉱等がこぼれるおそれのある場合に限る。)における、当該ホッパーの下方の場所において有 効な呼吸用保護具を使用させて行う臨時の作業であり、具体的には修理の業務があたること。(則 第2条第18号ロ(1)関係) (4) 則第2条第18号ロ(1)に規定する業務以外の業務のうち、作業環境測定を行うべき作業場であって、 鉛則第52条の2第1項の規定による評価の結果、第3管理区分に区分された屋内作業場における業務に ついては、女性労働者を就かせてはならないものとするものであること。(則第2条第18号ロ(2)関係) 3 有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号)に規定する有害物のうちの11物質に係る業務等(則 第2条第18号ハ関係) (1) 当該規定は、有害物に係る就業禁止業務のうち、有機溶剤中毒予防規則(以下「有機則」という。) において規制されている有害物のうちの11物質を発散する場所におけるもの及びエチルベンゼン塗 装業務を規定するものであること。 (2) 有機則に規定する有害物のうちの11物質を発散する場所における業務及びエチルベンゼン塗装業 務であって、有機則第32条第 1項第1号若しくは第2号又は第33条第1項第2号から第7号まで(特化則第38条の8においてこれらの 規定を準用する場合を含む。)に規定する業務について、女性労働者を就かせてはならないものとす るものであること。ただし、則第2条第18号ハ(1)括弧書きにおいては、則第2条第18号ハ(1)本文に 規定する業務のうち、有機則第2条第1項(特化則第38条の8において準用する場合を含む。)の規定に より送気マスク等の使用義務が適用除外されている業務を除外するものであること。(則第2条第18 号ハ(1)関係) なお、有機則第33条第1項第1号に規定する業務(第3種有機溶剤等に係る業務)については、女性の 就業を禁止していないものであること。 (3) 有機則に規定する有害物のうち11物質を発散する場所における業務及びエチルベンゼン塗装業務 であって、則第2条第18号ハ(1)に規定する業務以外の業務のうち、作業環境測定を行うべき作業場 であって、有機則第28条の2第1項(特化則第36条の5において準用する場合を含む。)の規定による 評価の結果、第3管理区分に区分された屋内作業場における業務については、女性労働者を就かせて はならないものとするものであること。(則第2条第18号ハ(2)関係)
*1・生殖毒性区分1Aの定義:生殖毒性(性機能及び生殖能又は発生に対する悪影響)があることが知られて いる化学物質 ・生殖毒性区分1Bの定義:生殖毒性があるとみなされる化学物質 ・生殖細胞変異原性1Aの定義:生殖細胞に経世代突然変異を誘発することが知られている化学物質 ・生殖細胞変異原性1Bの定義:生殖細胞に経世代突然変異を誘発するとみなされる化学物質