安全衛生情報センター
今般、「化学物質のリスク評価検討会」において、別紙に掲げる詳細リスク評価対象物質3物質及び初 期リスク評価対象物質16物質の計19物質(以下「対象物質」という。)についてリスク評価が行われ、その 結果が「2019年度化学物質のリスク評価検討会報告書」として取りまとめられるとともに、厚生労働省 Webサイトにおいて公表された。 (参照URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10072.html) ついては、今般のリスク評価の結果を踏まえ、対象物質に係る有害物ばく露作業報告の提出事業場(た だし、提出後、対象物質の製造・取扱いを中止していること等が把握されているものは除く。)に対し、 別添1の例を活用して下記の取組の推進を要請されたい。 なお、主要な関係事業者団体に対しては、別添2により会員、傘下事業者等の関係者への周知等を要請 しているので了知されたい。
1 詳細リスク評価結果 (1) 経気道ばく露のリスクが高く、健康障害防止措置の検討を行うべきとされた物質(2物質) No.84 アセトニトリル No.81 塩化アリル 本物質については、経皮吸収が指摘されていることから、経皮吸収に関する知見や保護具等作業実 態のデータを積み重ねた上で、経皮吸収の観点も含めて詳細リスク評価を確定させることとしている。 他方、経気道ばく露のリスクに係る追加調査の結果、本物質を製造し又は取り扱う事業場の作業工 程に共通して、経気道ばく露により労働者に健康障害を生じさせるリスクが高いと判定され、これに 対応する健康障害防止措置の検討が必要と結論されたことから、本物質については、今後、経気道ば く露に対応する健康障害防止措置の検討を行うこととしているところである。 しかしながら、本物質は有害性の高い物質であり、かつ、事業場において高いばく露が生じる可能 性があることから、今後実施する健康障害防止措置の検討結果を待たず、速やかに労働安全衛生法(昭 和47年法律第57号。以下「安衛法」という。)第57条の3第1項の規定に基づく危険性又は有害性等の 調査(以下「化学物質のリスクアセスメント」という。)を行い、その結果に基づいて労働安全衛生規 則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)第576条、第577条、第593条、第594条等の規 定に基づく措置を講ずることにより、リスクの低減に取り組むこと。 (2) 経気道ばく露について、作業工程に共通して高いリスクが認められるものではないが、揮発性が高 いことに注意が必要と判定された物質(1物質) No.79 クロロメタン(別名塩化メチル) 本物質については、経皮吸収が指摘されていることから、経皮吸収に関する知見や保護具等作業実 態のデータを積み重ねた上で、経皮吸収の観点も含めて詳細リスク評価を確定させることとしている。 今般、経気道ばく露のリスクに係る追加調査の結果、本物質を製造し又は取り扱う事業場において、 作業工程に共通して高いばく露があるわけではなく、直ちに健康障害防止措置の検討が必要となるよ うな高いリスクが認められるものではないが、本物質が容易に気化し、高濃度になりやすい物質であ ることには注意が必要であると判定された。 本物質は有害性の高い物質であることから、今後実施する経皮吸収の観点も含めた詳細リスク評価 の確定を待たず、速やかに化学物質のリスクアセスメントを行い、その結果に基づいて安衛則第576条、 第577条、第593条、第594条等の規定に基づく措置を講ずることにより、リスクの低減に取り組むこと。 2 初期リスク評価結果 (1) 経気道ばく露に関するリスクが高い等と判定され、さらに詳細なリスク評価が必要とされた物質(8 物質) No.104 2−クロロフェノール No.105 メタクリル酸メチル No.106 2−ブテナール No.110 しよう脳 No.111 チオ尿素 No.112 テトラメチルチウラムジスルフィド(別名チウラム) No.113 1−ブロモプロパン No.116 メタクリル酸2,3−エポキシプロピル 本物質については、初期リスク評価において経気道ばく露に関するリスクが高い等と判定されたこ とから、ばく露の高い要因等を明らかにするため、さらに詳細なリスク評価を行うことを予定してい る。 しかしながら、本物質は有害性の高い物質であり、かつ、事業場において高いばく露が生じる可能 性があることから、今後実施する詳細リスク評価の結果を待たず、速やかに化学物質のリスクアセス メント(ただし、メタクリル酸2,3−エポキシプロピルについては、安衛法第57条の2における通知 対象物に該当しないことから、安衛法第28条の2第1項の規定に基づく危険性又は有害性の調査に代え る。)を行い、その結果に基づいて安衛則第576条、第577条、第593条、第594条等の規定に基づく措 置を講ずることにより、リスクの低減に取り組むこと。 (2) 経気道ばく露のリスクは低いと判定されたものの、経皮吸収のおそれが指摘されている物質(1物質) No.115 2,4−ジクロロフェノキシ酢酸 本物質については、初期リスク評価において経気道ばく露に関するリスクは低いと判定されたが、 経皮吸収が指摘されていることから、詳細リスク評価を行い、経皮吸収に関する知見の収集や保護具 の使用等作業実態のデータを積み重ねた上で、経皮吸収の観点も含め、リスク評価を確定させること を予定している。 しかしながら、本物質は有害性の高い物質であり、かつ、経皮吸収によるばく露の可能性があるこ とから、今後実施する詳細リスク評価の結果を待たず、速やかに化学物質のリスクアセスメントを行 い、その結果に基づいて安衛則第576条、第577条、第593条、第594条等の規定に基づく措置を講ずる ことにより、リスクの低減に取り組むこと。 (3) 経気道ばく露のリスクは低いと判定され、かつ経皮吸収のおそれの指摘もない物質(7物質) No.101 ジボラン No.102 アセチルサリチル酸(別名アスピリン) No.103 塩化ホスホリル No.107 トリクロロ酢酸 No.108 ニッケル(金属及び合金) No.109 イソホロン No.114 エチリデンノルボルネン 本物質については、初期リスク評価において経気道ばく露に関するリスクは低いと判定された。 しかしながら、本物質は有害性の高い物質であることから、速やかに化学物質のリスクアセスメン トを行い、その結果に基づいて安衛則第576条、第577条、第593条、第594条等の規定に基づく措置 を講ずることにより、リスクの低減に取り組むこと。別紙(PDF:776KB)