安全衛生情報センター
労働基準法施行規則の一部を改正する省令(平成31年厚生労働省令第67号。以下「改正省令」という。) が、本日公布され、施行されたところである。 ついては、下記の事項に留意の上、事務処理に遺憾なきを期されたい。
第1 改正の趣旨 労働基準法(昭和22年法律第49号)第75条第2項の業務上の疾病の範囲は、労働基準法施行規則(昭和 22年厚生省令第23号)別表第1の2(以下「別表」という。)に定められているところであるが、平成30 年10月から「労働基準法施行規則第35条専門検討会」(以下「専門検討会」という。)において、別表 に掲げる業務上の疾病の範囲について医学的検討を行い、同年11月30日に「労働基準法施行規則第35 条専門検討会報告書」が取りまとめられた。 今般の改正省令は、同報告書を踏まえ、業務上の疾病の範囲について改正を行ったものである。 第2 改正事項等 別表第7号11に「オルト−トルイジンにさらされる業務による膀胱(ぼうこう)がん」を追加したこ と。 (要旨) 本改正は、オルト−トルイジンにさらされる作業環境下において業務に従事することにより 発生する膀胱がんを業務上の疾病として新たに定めたものである。 (解説) (1)「オルト−トルイジン」(化学式:C7H9N)とは、芳香族アミンの一種であり、無色の液体で空 気や光にばく露すると帯赤茶色になる。 なお、オルト−トルイジンは、第2類物質及び特別管理物質に該当する特定化学物質として 特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号)に規定されている。 (2) 該当業務としては、例えば、染料・顔料の中間体の製造の業務等がある。 (3) 膀胱を含め、腎盂(う)、尿管、一部の尿道の内側は尿路上皮という粘膜に覆われている。膀 胱がんは、尿路上皮のがん化によって引き起こされる。膀胱がんの90%以上が移行上皮がんで あり、まれに扁(へん)平上皮がんや腺がんがみられる。 (4) 本規定に定める疾病に係る業務上外の判断に当たっては、昭和51年8月4日付け基発第565号 「芳香族化合物のニトロ又はアミノ誘導体による疾病の認定基準について」の記の3のなお書 きに基づき本省にりん伺すること。 第3 改正内容の周知 今般の改正内容については、別途指示するところにより、幅広く周知を図ること。 第4 関係通達の改正 改正省令の施行に伴い、関係通達を別紙のとおり改めること。 第5 その他 改正省令の施行に伴う「労災保険業務機械処理事務手引」(平成30年12月14日付け基発1214第3号) 内の「傷病性質コード表」の改正については、別途指示する予定である。