安全衛生情報センター
今般、「化学物質のリスク評価検討会」において、平成24年度ばく露実態調査対象物質の10物質のうち、 1,2-ジクロロプロパン、ナフタレン、フェニルヒドラジンの3物質についてリスク評価を行い、その報告 書が取りまとめられたところである。 本報告書を踏まえ、物質のリスクの程度に応じ下記のとおり労働者の健康障害防止対策について取りま とめたので、関係事業者等に対し指導されたい。 併せて、別添1により関係事業者団体等の長に対して傘下会員事業者への周知等を要請したので了知さ れたい。 また、検討会報告書の概要を別添2として添付するが、報告書全文(本文及び別冊)は厚生労働省のホー ムページ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000003394z.html)に掲載しているので了知され たい。 なお、平成24年度に国がばく露実態調査を行った対象物質のうち、残りの7物質についてもリスク評価 を実施し、同様の報告書を取りまとめる予定であることを申し添える。
1 リスク評価を行った物質について (1) 制度的対応を念頭において健康障害防止措置の検討を行うべきとされた物質について 1,2-ジクロロプロパンについては、リスク評価の結果、当該物質を含有する洗浄剤を用いて行う洗 浄又は払拭の業務においては、事業場の作業工程に共通して労働者に健康障害を発生させるリスク(以 下単に「リスク」という。)が高いことが認められたため、当該作業について健康障害防止措置の検討 が必要と結論された。 このため、リスク評価の結果を踏まえ、健康障害防止措置の検討を行い、関係法令の改正を進めて いるところである(平成25年8月公布、同年10月施行予定)。 しかしながら、この物質は有害性の高い物質であり、かつ、事業場において高いばく露が生じる可 能性があることから、関係法令の改正までの間についても、1,2-ジクロロプロパンを取り扱う業務に ついては、平成25年3月14日付け基発0314第1号「洗浄又は払拭の業務等における化学物質のばく露防 止対策について」に基づき、引き続き、都道府県労働局及び各労働基準監督署(以下「労働局等」と いう。)は関係事業者等に対し指導すること。 2 初期リスク評価を行った物質について (1) 高いリスクが認められたため、さらに詳細なリスク評価が必要とされた物質について ナフタレンについては、リスク評価の結果、一部の事業場の作業工程において労働者に健康障害を 発生させるリスク(以下単に「リスク」という。)が高いことが確認されたため、平成25年度において、 引き続き詳細なリスク評価のためのばく露実態調査を行い、その結果によりリスクの高い作業工程を 明らかにするとともに、当該作業工程に係るリスク低減措置について検討することとしている。 しかしながら、この物質は有害性の高い物質であり、かつ、事業場において高いばく露が生じる可 能性があることから、今後実施する詳細なリスク評価の結果を待たず、速やかに労働安全衛生法(昭 和47年法律第57号。)第28条の2第1項の規定に基づき、当該物質に関し有害性等の調査を行い、その 結果に基づいて労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)第576条、第 577条、第593条、第594条等の規定に基づく措置を講ずることにより、リスクの低減に取り組むよう、 労働局等は関係事業者等に対し指導の徹底を図ること。 (2) 引き続き適切な管理を行うべき物質について フェニルヒドラジンについては、リスク評価の結果、事業場において高いリスクは確認されなかっ た。 しかしながら、この物質は有害性の高い物質であることから、必要に応じて安衛則第576条、第577 条、第593条、第594条等に基づく措置を講ずるほか、事業者による自主的な管理を推進するよう、労 働局等は関係事業者等に対し指導すること。