安全衛生情報センター
特定化学物質障害予防規則の一部を改正する省令(平成25年厚生労働省令第21号)及び特定化学物質障害 予防規則の規定に基づく厚生労働大臣が定める性能等の一部を改正する告示(平成25年厚生労働省告示第 35号)が平成25年3月5日に公布され、いずれも同年4月1日から施行し、又は適用することとされたところ である。その趣旨、内容等については、下記のとおりであるので、関係者への周知を図るとともに、その 運用に遺漏なきを期されたい。
第1 改正の趣旨 本改正は、「平成23年度管理濃度等検討会」において検討された結果及びその報告書を踏まえ、ベリ リウム及びその化合物の管理濃度等を改めるとともに、オルト−フタロジニトリルの管理濃度を定め、 それに基づく作業環境測定の結果の評価等を義務付ける等の改正を行うものである。 第2 改正の要点 1 特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号)の一部改正について オルト−フタロジニトリルについて、新たに作業環境測定の結果の評価等の対象としたこと。 2 特定化学物質障害予防規則の規定に基づく厚生労働大臣が定める性能(昭和50年労働省告示第75号) の一部改正について ベリリウム及びその化合物並びにオルト−フタロジニトリルを製造し、又は取り扱う作業場に設け る局所排気装置の性能要件としての抑制濃度をそれぞれ改めたこと。 3 作業環境測定基準(昭和51年労働省告示第46号)の一部改正について オルト−フタロジニトリルについては、揮発性が高く、気体状のものも精度良く捕集する必要があ ることから、オルト−フタロジニトリルの試料採取方法は、ろ過捕集方法と、気体の捕集に適した固 体捕集方法を組み合わせた方法としたこと。これに伴い、オルト−フタロジニトリルの分析方法は、 ガスクロマトグラフ分析方法としたこと。 4 作業環境評価基準(昭和63年労働省告示第79号)の一部改正について ベリリウム及びその化合物の管理濃度を改めるとともに、オルト−フタロジニトリルの管理濃度 を定めたこと。 第3 その他 ベリリウム及びその化合物について、作業環境管理に係る技術水準も踏まえ、管理濃度の値を0.001 mg/m3に引き下げた。 一方、ベリリウムの感作性による労働者への健康影響に十分留意することが必要であることから、ば く露の可能性の高いベリリウム合金の溶解や溶接の作業を行う事業場においては、出来る限りベリリウ ムのばく露量を抑えるため、ベリリウムの濃度等を踏まえ、労働者に電動ファン付き呼吸用保護具、皮 膚の露出を防ぐ保護衣等の有効な保護具を着用させるとともに、ベリリウムの感作性による労働者への 健康影響を定期的に確認させるよう指導すること。 第4 関係通達の一部改正 平成17年3月31日付け基発第0331017号通達の一部改正 平成17年3月31日付け基発第0331017号「屋外作業場等における作業環境管理に関するガイドライン について」の一部を次のように改正する。 別表第1中「15 オルト−フタロジニトリル」の項中「−」を「0.01 mg/m3」に改める。 別表第1中「43 ベリリウム及びその化合物」の項中「0.002 mg/m3」を「0.001 mg/m3」に改める。